今後、経営側の責任はますます重くなっていくだろう
また最新のニュースとして、12月24日、柏労働基準監督署が大手学習塾運営企業に対して「過去2年分の残業時間を1分単位で再計算し、未払分を支払うよう是正勧告した」ことが明らかになった。
もともと労働基準法では、「賃金は働いた分を全額支払う」ものと定められており、残業代は1分単位で発生する。しかし運用上、15分や30分単位で残業時間を管理し、端数を切り捨てて処理することも多く見受けられる。これまであまり問題にならなかったような点だが、このように細かいところまで指導が入ったこと、そして国民年金についても、厚労省が滞納者への強制徴収に踏み切る方針を打ち出したことで、ますます指導は厳しさを増していくことが予想される。
厚労省としては、「適正に労働時間管理をおこなえるようなシステムを整備せよ」「労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化とチェック体制を整備せよ」と指導しており、経営者側が法に則って適切に対処しなければならないプレッシャーは重くなろう。
とはいえ、そもそも残業代というシステムはおかしな制度だ。
よくよく考えれば、与えられた仕事を定時でこなし、残業せずに帰れる者が偉いはず。残業している者はむしろ仕事が効率的にこなせない「ダメ社員」と思われてよいのに、なぜか「会社に貢献している」と認識される。さらには仕事を早く終えて帰ろうとすると「余裕がある」と思われ、どんどん仕事が増えてしまって割に合わない。このような悪平等が根本から断ち切れないと、日本の労働環境が良くなることはないだろう。
……と、こんなことを表明すると決まって
「お前は何も分かってない。残業とか定時とか関係なく、こなせないくらいの仕事をムチャ振りするブラック企業があるから問題なんだろうが!」
などと、なぜか私が叩かれたりする。
大丈夫。そんなブラック企業を淘汰させることはできる。ただし、「対症療法」ではなく、根本から変革する「問題解決」が必要だ。