臨床心理士 尾崎健一の視点
これまで培ってきた能力などの再評価を
Bさんには、長い間勤めた部署を異動して戸惑いがあるのではないでしょうか。長くやってきた業務と社内外の人間関係が変わってしまったら不安になることもあるでしょう。経験が長くプライドを持っているなら、これまでのやり方に固執したり、出来るところを見せたいという気持ちが生まれたりすることも理解できます。新しい商品にはまだなじめず、パソコンが苦手な自分を受け入れきれていない精神状態なのかもしれません。
この年齢まで辞めずに勤めたということは、何らかの貢献を会社にしてきたということ。解雇を検討する前に、「これまで培ってきた能力は何か」と「それを活かす方法があるか」を考えることが先でしょう。場合によっては、全く別の職種や部署で能力を発揮できるかもしれません。
また、上司としては「できないから」と投げ出すのではなく、適切な指導をすることも必要です。シニア層の部下への指導は、「意見を聴く姿勢をもつ」「過去の成果を尊重する」「年上の人から言ってもらう」など本人のプライドへの配慮が必要です。
古いと思われる「関係性重視」の考え方も、何かとドライな関係になりがちな現代では、顧客との関係のあり方を考える一つのきっかけにしても良いのかもしれません。