12月に入り、大学3年生の就活が本格化していく一方で、早くも焦りを感じている大学1、2年生もいるかもしれない。現2年生の就活は解禁がさらに3か月遅くなり、短期決戦の様相はますます強まる可能性がある。
就職ジャーナルのアンケート(2013年8月実施)によると、大学1年生はすでに81.2%が「就職や就活のことが気になっている」と回答している。
1年生から「SPIの勉強をしている」
1年生の中には、すでに情報収集を始めたり、具体的な行動に移したりしている人もいるようだ。前出の調査では、こうした声も目立つ。
「就活関連の情報をチェックするよう気をつけている」(女子・工学部)
「大学2年の夏、海外インターンシップに参加する予定」(女子・法学部)
「SPI(試験)の勉強をしている」(男子・人文学部)
リクルートの就職情報サイト「リクナビ」の編集長、岡崎仁美氏によると、こうした背景には、「低年次からのキャリア教育の導入」があるという。
「大学に入ったらそれがゴールではなく、社会で活躍できる人材を目指して就業力(能力・意欲)を高めるために1年生・2年生にキャリア教育を施す大学が増えています。その影響もあり、低年次から将来を意識する傾向が強くなっているのだと認識しています」(同)
例えば、法政大学では2011年から、「産学連携3D教育プロジェクト」と銘打って、各大学や企業と協力し、キャリア教育を進めている。明治大学でも、1・2年生向けに「就職キャリア支援部」を設置し、各種セミナーの実施やインターンシップ支援などを行っている。
知らない仕事を「やりたい」と思うのは難しい
キャリア教育の活用や、インターンシップで実際に仕事を体験してみることは大切だ。就活が始まった時の自信にもなる。志望企業や志望動機が明確になるという利点もある。
岡崎氏は、「学生のみなさんには『具体的な志望企業にアプローチする行為』である就職活動を始める以前から、世の中にはどんなビジネスがあるのか、それらはどんな人たちのかかわりや働きによって成り立っているのか、に関心を持ち、一定の知識を得た上で就職活動スタートを迎えてほしい」と話す。
自分の価値観やキャリア感がしっかりしていないと、いざ就活に臨んでも「本当にやりたいことが見つからない」ということになってしまう。岡崎氏は、そうした悩みを口にする就活生を多く見てきたという。確かに「知らない仕事」を「やりたい」とアピールするのは非常に難しい。
「インターンシップは夏が主流。大学生活にようやく慣れたタイミングの1年生の夏よりも、大学生活のペースがつかめた2年生の方が、チャレンジしやすいのではないでしょうか。また最近は交換留学などの制度を充実させている大学も多く、そうしたある一定の時間を要する大学生ならではの挑戦にも、2年生というタイミングは相性がよいと思います」
「何を仕事にしたいか」を就活期間内で考え、色々な企業や仕事を知るには限界がある。就活を目的として社会を知ろうとするのではなく、一定の期間を要する「大学生ならではの挑戦」を通じて、働く価値観を養うことが重要だといえそうだ。