長時間労働などで若者を使い捨てにする「ブラック企業」の疑いがある事業所について、厚生労働省は集中的に立ち入り調査した結果、約8割にあたる4189の事業所で違反があり、是正勧告したと、2013年12月17日に発表した。社員の7割以上を「名ばかり管理職」にして残業代を支払わなかった例や、ノルマ未達成を理由に基本給を減額するなどの悪質なケースもあった。
集中調査は、今回初めて13年9月に実施。全国の労働基準監督署が行った電話相談の情報をもとに、若者の離職率が高い企業など、5111の事業所を立ち入り調査した。その結果、全体の43.8%にあたる2241事業所で「違法な時間外労働(長時間労働)」があり、23.9%にあたる1221事業所で「残業代の不払い」が見つかるなど、82%の事業所で労働基準関係法令への違反があった。
長時間労働が指摘された事業所のうち、過労死などの労災認定基準となる80時間以上の時間外労働があったのは1230事業所。このうち100時間を超えた事業所が730もあった。
業種別では、長時間労働は「運輸交通業」で最も多く、調査した事業所の56.8%で違反が発覚。また、「接客娯楽業」が52%、「教育・研究業」44.2%で多かった。
残業代の不払いは「建設業」と「接客娯楽業」がともに37%で最多。規模別では従業員10~29人の企業が33.6%で最多。小規模な企業ほど違反が多かった。
厚労省は違反があった事業所に是正勧告を行ったうえで、是正に従わない企業については書類送検して、企業名を公表する方針。