私は現在この文章を、タイのバンコクで書いています。
大規模なデモが起こっているという報道でおなじみのバンコクです。
ちなみに、先週はシンガポールにいました。
約40年ぶりの大規模暴動が起こったという報道でおなじみのシンガポールです。
「現地にいて大変ですね…」と言われるのですが、「別に…」というのが今回の趣旨です。
普通に街の中で生活している分には全く影響なし
私は、ビジネスパーソン時代から仕事や遊びで年中海外にいってたので、こういうことはよくあります。
9.11やリーマンショックの時はアメリカにいましたし、バレンシアの列車事故の時にはスペインにいました。ギリシャやイタリア、インドネシアなどでも、大規模なデモに遭遇してます。スマトラ地震のときは、震源地の上を飛行機で飛んでいました。最近では、レイテ島に台風が直撃したときにフィリピンにいました。
こうやって書くと、酷い目ばかりに会っているような気がしますが、実はこれを読んでいる人のほとんどが似たような体験をしているはずです。
例えば、東日本大震災や、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震の時に日本にいませんでしたか?地下鉄サリン事件や、原発関連の大規模デモの時に日本にいた人も多いと思います。感覚としては、そういうのと同じ感じなのです。
現地で被災した方も多数いらっしゃると思いますが、あれほどの大震災であっても、日本にいる多くの人は直接の被害を受けたわけではありません。史上稀に見るような凶悪なテロも、多くの日本人にとってはブラウン管(当時)の向こうの許せない出来事です。大規模なデモの最中、東京にいても、ほとんどの都民はニュースでも見ない限りその存在にすら気づきません。
今回、シンガポールやバンコクでのデモも、普通に街の中で生活している分には全く影響がありませんでした。ネットやテレビでニュースを見て初めて知るレベル。日本にいるのと大差ありません。違うのはその後で、どこでデモがあるのか、暴動が起こったのかをきちんと調べて、その周りには近づかないようにしようと注意するくらいです。
ニュースの場所からどれくらい離れたところにいるかを考える
外国で何か事件や災害が起こると、その国が凄く怖いところのような気がしてしまいます。もちろん、事件の現場は凄く大変なことが多いのですが、それはその国のごく狭い範囲であることがほとんどです。
東北の震災のあと、アメリカ在住のアメリカ人が九州に住んでいる日本人に対して「お前、大丈夫か?生きてるか?」と連絡をしてきたら「おおげさだなー」と思うように、外国に住んでいる人は、国の中の距離感というのは掴めないものです。同じ国=ヤバイと思って心配する前に、一度Google Mapをみて国の中の距離をみることで、冷静な判断を取ることができるようになります。
もっというと「日本」と「外国」という考え方をして、「外国」で事件が起こる度に「外国怖い」と思わないようにした方がいいと思います。
日本は200近くある国の一つにすぎません。「外国」で災害や事件が起こる確率は単純計算で、日本で起こる確率の数十~数百倍あります。なのに「外国」で災害が起こる度に「外国は怖いねー。日本にいるのが一番」などと言ってしまうのは、完全にミスリードです。
みなさんが、ニュースなどで「外国」の災害や事件などをみたら、日本で同規模の災害が起こったときのことを想像してみてください。そして、現地に友達などがいたら、その友達がニュースの場所からどれくらい離れたところにいるかを考え、心配したり連絡したりするといいと思います。同時に、現地の被害の大きさを想像して、可能であれば何かを支援したりするといいと思います。
「外国」を「日本」と同じ縮尺で考えることができるようになると、ニュースの見え方が変わってきますので、おすすめです。(森山たつを)