東大?博報堂?それが何か? そんな「アウェー」でどうサバイバルするか?

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   アメリカへのMBA留学では、日本時代の肩書きは通用しません。たとえ名が知られた企業出身でも、個人としての存在感がなければ相手にしてもらえません。

   英語で交わされるミーティングで、周りが言っている内容が分からずに無言でいると、「出席していないのと一緒」と言われたこともあります。そんな環境の中で、最初の壁をどう突破したかをご紹介します。意外にも、「ビールとピッチャー」に助けられ……

自分の意見を言えない=いないのと同じ

80人のクラスで日本人一人という環境を想像できますか?Photo by Sam Chen
80人のクラスで日本人一人という環境を想像できますか?Photo by Sam Chen

   サマースクールではアジア人が多く英語も身ぶり手ぶりで通じるし、最後のマーケティングのプレゼンでも勝利して、2012年秋、意気揚々と本プログラムに突入しました。

   アメリカの大学は、講義を受けて期末試験で理解度を測る日本のシステムと違って、授業に来るまでにひと通り内容を理解していて、授業はディスカッションで理解を深める場です。予習のために4人~5人のチームでミーティングを行うのですが、テキストを読み切るのに精一杯の私は苦労していました。

   アメリカ人がブレーンストーミングしようと言ってアイデアを出したのですが、アイデアの内容が分からない。アイデアに対して他人が意見を述べるのですが、その意見も分からない。さらに「ケン(私のニックネーム)はどう思うの?」と言われても経緯が分からないので薄ら笑いしかできない…。とどめを刺すように「自分の意見が言えないのは、ミーティングに出ていないのと一緒だぜ」と言われ、新入社員以来久々に暗澹たる気持ちになりました。

   MBA以前、個性の際立つ会社にいたとはいえ肩書きに助けられたこともありました。「東京大学のムロです」「博報堂のムロです」。これで得をしたことも…。しかし、ここでは通用しないのです。

   そんな悩みを抱えている折、必修のクラスで毎週水曜の夜ハッピーアワーと呼ばれる飲み会が開かれることになりました。自分を見失ったままではいけない、英語を鍛えてみんなと仲良くなろう、その一心でバーに繰り出しました。

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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