野党が唯一攻められる穴だったから
この法案が政局化した理由は実に単純で、野党はそれ以外で安倍政権を攻撃することが出来なかったから。秘密保護法が唯一、政権の弱点だったということです。と書くとなんだか安倍政権がとんでもなく優等生みたいに聞こえますが、別にそんなことは無くて、他にもっと大きな弱点はあります。それは「アベノミクス第三の矢である規制緩和がしょぼすぎる」という点ですが、ここは同時にほとんどの野党の急所でもあります。
たとえば「労働市場の規制緩和が全然進んでないじゃないか、政府は早く解雇規制を緩和しろ!」と言ってしまうと安倍政権にダメージ10くらい入るでしょうが、民主や共産はダメージ100くらいになって即死するでしょう。とはいえ、野党である以上、なにかしら反対しないと存在感がないわけで、窮余の策として秘密保護法案という既得権者ゼロの法案に飛び付いたのでしょう。
まあ社民や共産党はある意味筋が一本通っているので違和感ないですが、つい最近まで与党にいながら存在感ゼロの民主党議員がここぞとばかりにカメラの前で女性大臣を怒鳴りまくっている姿は、正直言って最高にカッコ悪かったです。小学生相手にカツアゲする中学生みたいでしたね。
ちなみに、与党に「規制緩和が生ぬるい」と実際に言っているみんなの党、日本維新の会の両野党が、修正協議段階では法案支持に回った事実が、今回のドタバタ劇の本質をよくあらわしていると思われます。彼らは反対のための反対などする必要が無かったということですね(とはいえ最終的に棄権や退席でぶれた点は批判を免れませんが)。
読者のみなさんには、今回最後まで反対を貫いた政党名をよく記憶しておくことをおススメします。彼らは(まあなんないでしょうけど)仮に与党になっても、恐らく国民が必要とする改革には一切手を付けず、今回と似たようなグダグダ政局を繰り広げる可能性が極めて高いからです。