先日、年末の慌ただしい中、筆者は久々にニュースでも見るかとテレビをつけたのですが、ちょうど国会で与党に怒鳴りながら詰めよる野党議員の姿が映し出されていてびっくりしてしまいました。それを伝えるスタジオの雰囲気、コメンテーターの口調も緊迫気味です。
そう、そのニュース番組のトップは例の秘密保護法案採決に関するもので、なんでも日本の民主主義の危機なんだそうです。驚いてわざわざ新聞社のサイトを見に行くと、朝日や毎日新聞といった一部の全国紙も大々的に批判キャンペーンを張っています。
マスコミと「筆者の周囲のビジネスパーソン」のギャップはどこから?
法案の条文を読めばわかるように、その規制対象は公務員や防衛部門など特定の民間業者・社員であり、意図的にスパイ行為でもしない限り一般市民が引っかかることはありえません。特定秘密の内容も普通に生活していればまず接触する機会のないものばかりです。
それでも「善良な一般市民が損害を受ける可能性はゼロではないだろう」と言われればそうですが、そもそも100%安全でクリアな法律にこだわることにどれくらい意味があるのか疑問です。普通に歩いていてもぶつかってきて倒れた警官に「公務執行妨害ね」と言って逮捕される状況が現にありえるわけで、大切なのは後からきっちり運用させることでしょう。重箱の隅をつつくようにして騒ぐのは時間の無駄です。
実際、テレビや新聞から現実社会に視線を戻すと、そこでは危機どころか、いつもと変わらぬ日常が続いています。少なくとも筆者の周囲のまっとうな正業を持っている働き盛りのビジネスパーソンの中で、民主主義の危機だとか特高警察が復活するだとか言っている人はただの一人もいません。いったい、このギャップはどこから来たのでしょうか?