昨日で忘年会、もう3回目。今夜もある……こんな会話が交わされるシーズンとなった。楽しみにしている人もいる一方、お酒が入る場だけに、何かとトラブルのもとになりがちな面もある。
今回は、「AKB」も関係する困り事が発生したようだ。
本人は「会社の行事での事故なので会社が負担するのが筋」
製造業の人事です。当社では毎年、部門ごとに大規模な忘年会を行っています。
営業部門では商品を出して、各課対抗で出し物をやって競い合っています。
今年は、課員全員でAKB48の歌を振り付きで歌ったグループがありました。そこでトラブルが起きました。
踊っていたAくんが酔っていたせいか派手に転んでしまい、お店の壁に穴を開けてしまったのです。
帰り際にAくんは、その修繕費として3万円を店から請求をされ、酔っていたこともありその場で払ってしまったそうです。
そして後日、本人から「会社として3万円を補填して欲しい」と人事に言ってきたのです。
「確かに壁に穴を開けたのは僕ですが、会社の行事での事故なので会社が負担するのが筋ではないでしょうか?営業中の事故は当然、会社が補償しますよね。忘年会で、しかも会社の要請でやった出し物です。当然会社が対応すべきだと思います」
Aくんの主張も強ち無茶な主張とも言えません。
Aくんが酔っての失態であることは事実ですが、酔ったことも「忘年会は酒を飲む場」ということを考えれば、Aくんを責める訳にはいかないでしょう。
補償金の出処を営業部門持ちとするか、人事部門持ちとするかも悩ましいところです。
良きアドバイスを…
社会保険労務士 野崎大輔の視点
「出席義務づけ」でなければ、業務として認められない場合が多いのでは
忘年会は出席が義務づけられているのであれば業務としてみなされますが、一般的に忘年会などは、業務として認められない場合が多いのではないでしょうか。民法709条は、故意または過失で他人に損害を被らせた者は損害賠償義務があると定めています。今回のケースも過失でお店の物を壊していますので損害賠償義務が発生します。業務ではないのですからAさんが全額損害賠償をすべきという考えになるかもしれませんが、忘年会を盛り上げようとして起きてしまったアクシデントなのでここはAさんに負担を強いるのではなく、会社が負担した方がいいのではないでしょうか。
今回は、器物破損のみで大きな怪我などにはならなかったので良かったですが、もしこれが大怪我になったとしても過去の判例から労災と認定される可能性は低いです。酔って踊ったりするのは危険なので、来年以降は出し物をする場合は酔った状態でやらないようにするなど注意が必要だと思います
臨床心理士 尾崎健一の視点
まずは会社が前面に立ち「修繕代」是非を店側と交渉を
歓送迎会や忘年会などで起こったセクハラ事例への対応は、職場の延長での出来事という扱いで「会社の問題」として対処することが一般的になっています。今回のケースは、会社として正式な忘年会のようですので、会社行事と言わざるを得ません。
まずは、その「修繕代が妥当なのか」「払わなければならないのか」などをお店と交渉することが必要です。その交渉は個人ではなく、会社が前面に立って行うべきではないでしょうか。その交渉を経た上で「払わなければならない」となった場合に、会社負担とするか個人負担の割合をどうするかを社内で検討する事になると思います。
会社負担の場合の「お金をどの部門で持つか」は経営判断として、部門長同士や経営者が決定するしかないでしょう。