2013年は、アベノミクスでうたわれたこともあり「女性役員・管理職の増加」に注目が集まった1年だった。一方で、女性の社会進出の増加を背景に、妊娠や出産、産休取得を理由にした解雇や契約打切り、嫌がらせによって自主退職に追い込むなど職場での「セクハラ」ならぬ「マタハラ」も何かと話題になった。11月26日にも、「NEWSポストセブン」サイトが、「マタハラ被害が女性間で増加 『育休は1年半で十分』と識者」との見出しで取り挙げた。
「マタハラ」とは、マタニティハラスメントの略。連合が5月に実施した調査によると、妊娠経験者の4割近くが職場で「妊娠中や産休明けなどに心ない言葉を言われる」マタハラを経験している。
連合は「働くみんなのマタハラ手帳」をサイトで公開
ネットでも、育休を取ろうとした女性が、「戻ってきても仕事ないよ。育休考え直せ。退職願持って来い」と上司から退職を迫られるまさに「マタハラ」な相談に、「どこの会社もそんなもんだよ。私も育児休暇とらせてもらえなくて辞める事選んだ」といった回答も。そんな「マタハラ」の実態を暴いたNHKクローズアップ現代「出産・育児は"迷惑"? ~職場のマタニティ・ハラスメント~」(10月3日)が放送され、多くの反響が寄せられたこともあった。
ツイッターには「女性差別だと思う。…悲しくなるね」「えーーー『勝手に子ども作って職場に迷惑かけて…』とか言われちゃうの?」「日本では産休の穴埋めがなく残った人に全部しわ寄せが来るのも問題なんでは?」「『子供作るのが職場・近所・公共の場所の迷惑』という考え方なくさん限り、少子化は止まらんよな…」などの反応が。
一方で、「働き盛りが急に穴を開けるという事は、職場に残された人は負担だよ。これは揺るぎない事実。中小企業なら尚更。別に妊婦に限った話じゃない」と、「女性差別」とは別の視点からの意見も見られる。
「週刊現代」(8月31日号)に載った作家の曽野綾子さんによる特別投稿「出産したらお辞めなさい」に対し、賛否の声が多く寄せられ話題となったのは記憶に新しい。様々な意見が交わされる中で、「妊娠・出産する女性は会社には迷惑」という意見は、男性や上司からばかりでなく、育休や子育て中の働くママのフォローで、仕事が増えた同僚女性からの風当たりが強くなるケースもあることが浮き彫りになった。
今後、議論はどんな方向に進んでいくのか。労働団体の連合は、マタハラ防止に向け、法律面の解説などをマンガも使って紹介する「働くみんなのマタハラ手帳」をつくり、サイトで公開している。(NF)