「そこそこのスキル」で就職「引く手あまた」になる方法

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   海外就職研究家の森山たつを氏から聞いたのですが、「今年はベトナムが就職事情がいい」らしいです。現地に住んでいる私も、日に日に製造業の進出が増えている様子が手に取るようにわかります。

   ベトナムには、日本語のフリーペーパーがあり、そこには飲食店の広告だけではなく、製造業の広告ものっています。それを幾つかみてみると、

自動車部品の鋳造・加工・組み立てのA社「ロストワックス製法を導入し、日本同等の管理体制」
金属加工材料・丸鋼・平鋼の商社B社「ベトナムでは調達が難しい良質の材料を取り扱い」
レーザー精密板金のC社「安心の日本人常駐2名、ひとつからでも見積もり」
ネジ商社のD社「ボルト、ナット、ワッシャー、台湾製ボルト、精密機械加工品の提供が可能」

「半年の留学+半年のインターン」で

求人広告「ばんばん」の工場も
求人広告「ばんばん」の工場も

   こんな会社がばんばん宣伝を出しています。加工工場と、原材料の商社が多いようです。

   しかし、この中には、ひとつたりとも名前を聞いたことのある会社はありません。すべていわゆる中小企業だということです。

   とにかくこの手の企業は人手不足で、ねこの手も借りたい状態のようです。しかし、なかなか優秀なひとは集まってくれません。海外展開を増やしたり、駐在を増やしたりしたいが、英語もできる人材となるとなかなかいないという事情もあるとききます。

   日本のヒエラルキー型の就職システムでは、英語ができる人材は、東証一部の会社に行ってしまい、中小企業に就職した中堅や下位大学の学生は、こんどはほとんど英語ができない。

   つまり、そこそこのレベルの人材で、給与もそこそこ、というひとで、英語ができるひとというのがとても供給過少になっているというか、ほとんどいないのではないでしょうか。

   ここに大きなギャップがあるとおもいました。

   今秋に私が出した『英語ができないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?(tyk publishing)』 では、中堅大学を出ただけの特にスキルのない学生が、なんの準備もなしに、就職ランキングの上位企業への就職をねらって撃沈するさまを描写しました。

   その対案として、1年間あえて休学して、フィリピンなどの英語留学を半年、海外でインターンを半年すれば、英語で業務をしたことがある、そこそこの人材になれると説きました。下位・中堅の大学生でも、日本人の義務教育は英語のベースがある程度あるので、「半年の留学+半年のインターン」で、アジア圏ではビジネスができる人材に育つ可能性があるのです。

   そして、そういう人材こそ、上記のような中小企業がもっともほしいと思う人材でしょう。

生涯を通して自分が活躍できる場所をみつけていく

   日本の大企業で勤める人は就業人口の15%程度しかありません。残る85%の人は、他の働き口を考えなくては行けませんが、多くの文系学生は、「15%」に就職できなくては人生負けだと思ってしまい、中には中小企業なんてまっぴらだと思っている人もいます。そしてスキルを更新することなく、単に就職活動をし続けるという、チキンゲームを繰り返します。

   しかし、先にみたような海外の中小企業にこそ、活躍のチャンスがあるように思えてなりません。もちろん待遇は大手の商社に入るのにくらべたら比較にならないかもしれません。でも大手の商社に入れるならすでに内定しているはず。

   就職の問題というと、「大手の会社の椅子を増やしてほしい」「増やすべきだ」という方向性の話はよくききますが、そこそこのスキルの人が、「どのように自分の活躍場所をみつけていくか」、という議論はあまりききません。

   海外の事例をだしたので、反発するひとも多そうですが、国内でも事情は一緒です。新卒の一発チャンスでいかに上位の企業に滑り込むかではなく、生涯を通して自分が活躍できる場所をみつけていく、ということがキャリア構築の主眼になっていくように、こうした記事を通して世の中に訴えかけていきたいです。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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