皆さん、はじめまして。この連載では、MBA(経営管理学修士)留学生活の悲喜こもごもを、世にはばかる「エリート視点」ではなく、泥臭い「現場視点」で皆さんにお届けします。初回は、MBAプログラムに入るまでの経験を駆け足で紹介します。
MBA留学というと、どんなことをイメージされるでしょうか?色々な意見があると思いますが、私が一番よく言われたのが「やったじゃん!2年間の『遊学』でしょ?ゴルフし放題だね!」というものでした。2011年、東日本大震災の直前に社費派遣候補に選ばれたときには、人生最後の長期休暇が取れるという淡い期待を抱いていました。
徹夜で勉強したのに点数が下がったときは涙が…
業務の引き継ぎを完了し、準備のためにネットでMBA受験について検索し始めると、出るわ出るわ、血と汗と涙のMBA受験体験記。一流大学、一流企業出身でも徹夜が続くのは当たり前、死に物狂いで名門校の合格を勝ち取ろうとしている姿に青ざめました。
それでは、私の前に立ちはだかった「撃墜王」たちをご紹介していきましょう。MBA受験では2つのテストを受けることが求められます。ひとつは留学生の英語力を測るTOEFL。ライティング、スピーキングのテストもあって、語彙もTOEICとは比べものにならないほど膨大。私は目標点に達するまで4か月で9回も受験しました。もうひとつがGMAT。こちらはMBA受験生にとってのセンター試験に当たるものですが、TOEFLより難解。来る日も来る日も徹夜で勉強したのに点数が下がったときは涙が出ました。
テストで目標点数を取れたら次はエッセイと推薦状です。エッセイでは英語で数ページに渡って志望動機を説明し、推薦状は上司・元上司・取引先による小論文で、ペライチのサイン入りのものとは全く異なります。名門校ではテストはできて当たり前、差がつくのはエッセイ、推薦状、そして面接と言われています。
続々と届く「お祈り(不合格)メール」、そして…
各校の出願締め切りは年末年始。正月返上でエッセイを仕上げてオンラインで提出し、書類が通過したら面接です。たいてい聞かれる質問は決まっているのでほぼ丸暗記するくらいに回答を練習したのですが、ある朝突然、「もう一度英語力をチェックする」と電話がかかってきて、アメリカ人入学審査官との日常会話で「撃沈」したこともありました。
そしてオンラインによる合格発表シーズンに。しかし、次々と「お祈りメール=不合格通知」が届き、挫折経験は数あれど乗り越えてきた私にとっては、まさにアムロの「親父にだってぶたれたことないのに!」状態。茫然自失して職場近くの国会図書館で漫画を読みふけっていましたが、最終的には2012年春、ミシガン大学、コーネル大学というトップ10スクールから合格通知を受け取ることができました。
私が選択したミシガン大学は、アメリカ中西部に位置する州立大学で「コア・コンピタンス」「ボトム・オブ・ピラミッド」といった重要な経営コンセプトを生み出したことで有名です。MBA受験をかいつまんでご紹介してきましたが、大変だったのは入学してから。次回以降、アメリカでのエピソードを紹介していきます。(室健)