「待遇」努力しているのに「ブラック企業」とネットで批判 社員にSNS書き込み禁じていいか

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臨床心理士 尾崎健一の視点
実態調査とコンプライアンスの徹底が先決

   規制を厳しくする前に、まず実態調査が必要でしょう。会社の創設期は皆が結束し、管理もしやすいものですが、大きくなってくると隅々まで経営者の意識や管理が行き届きにくくなります。「残業が多すぎる」「休みが取れない」といった指摘があるなら、経営陣が本当の勤務実態を把握できているのか再度確認してみることが必要です。例えば、データ上の勤務時間と実態とが乖離していないか、ハラスメントなどの表面化しにくい問題はないかなどを確認しましょう。

   また、「どんな会社でもある通常の範囲内」の不満とはどんなものを指すでしょう。社員の声に敏感にならずに会社が大きくなると、経営者と社員の認識のズレが拡大し、思わぬリスクを抱えることになります。無記名の全社アンケートを実施したり、上司部下の定期面談を設けたりして現場の声に耳を傾けましょう。

   更に、内部統制機能を設けるなどして、基本的なコンプライアンスを徹底することも望まれます。勤怠管理、休日取得の促進、サービス残業規制、ハラスメント対策、公平な人事制度の構築などを確実に行うことで、「謂れのない噂だ」と言える体制を作りましょう。

「ブラック企業批判」対策に、「社員のSNS書き込み禁止」は有効?
有効
無効
無効どころか逆効果
分からない
その他
尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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