ミクシィの「優しすぎる配置転換」 追い出し部屋とまでは言えない

電機各社がいつか来た道を思い出す

   恐らくもっとも同社に必要な改革は、事業内容を大幅に見直しビジネスモデルを刷新するような大手術だ。もちろんそれなりの数の従業員に去ってもらうことも必要になるだろう。幸い今はまだ現金がそれなりにあるから、リスクを取る体力も十分で、リストラ対象者への再就職支援も可能なはずだ。

   ただ、既に述べたように、現状ではそれは難しい。

   「まだ黒字事業があるから」とか「現金があるから」といった理由で"大手術"を避け続け、やがてめでたく慢性赤字になって整理解雇も出来るけど「今さらやってどうすんの?」状態に追い込まれている日本企業は少なくない。手術というものは体力のあるうちに行うべきものなのだ。

   ミクシィの優しすぎる配置転換を見ていると、電機各社がいつか来た道を思い出すのは筆者だけだろうか。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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