「店長の遅刻常習」、元凶は社長の遅刻だった 社内の「ゆるみ」とトップの責任

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

「僕自身が規模に見合わない子供社長ということか…」

   もちろんD社長にこれらを尋ねてみれば、出勤が遅いのは連日夜遅くまで取引先を接待しているから、行き先を告げずに出るのは社員には関係のないトップ営業活動だから、会議の時間に遅れたのはその折衝が長引いたから、とそれぞれに正当な理由はありました。

   しかし「子は親の鏡」という格言もあります。20代が中心でほとんどの社員が40歳未満というS社のような"若い"急成長会社の場合、言ってみれば社長は兄貴であり親であるような存在です。30歳前後でそれまで人の上に立った経験もなく突然管理者となった社員は、社長を手本として日々業務姿勢を形づくっていると言っても過言ではないのです。

   社長が時間にルーズなら未熟な管理者はそれでいいのだと思って行動し、社長が時間や行動開示にルーズなら、彼らもまたそれが管理者のあたり前と都合よく解釈して行動する。さらには管理者がそのような行動をするのなら、その下に連なるスタッフは上司がやっているんだから自分たちもいいだろう、と「楽」に流れる負の連鎖は組織全体に容易に蔓延するものなのです。若い組織や急成長組織であればあるほど、子供に親が手本を見せてしつけをするかのように、社長は自己の行動に気を遣う必要があるのです。

   はじめは社長の行動に関する質問などに不満顔だったD社長でしたが、話を聞き進むうちに徐々に表情は変わりました。「結局のところ、僕自身が社長としてまだまだ今の規模に見合わない子供社長ということか…」。社長はC店長の処分をひとまず撤回し、自身の日常行動の見直しからはじめることにしました。(大関暁夫)

記事のケース、店長の遅刻で悪いのは社長?
社長
店長
店長の上司
誰も悪くない
その他
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
姉妹サイト