実は「カタカナ英語」でも通じる
脳科学者の茂木健一郎氏は「プレジデントオンライン」2013年8月12日付記事で、ズバリ「なぜ日本は英語を話せないのか」を論じている。「フィーリングで、迅速に言葉を選んでいく経験が足りない」との主張だ。
茂木氏は一例として、日本語の「干す」と「乾かす」を挙げた。似ているようで若干違う2語をどう使い分けるかは「微妙なフィーリング」に基づいている。英語でも同じというわけだ。日常会話の場面では、文法が正しいといった観点で会話を組み立てていては間に合わず、多少意味が違っても臨機応変に言葉をつないでいくのが大切。英会話でも、文法の正誤にこだわるより「なんとなくこう」というフィーリングを鍛えることを勧める。
先述の「週刊東洋経済」には、英語圏出身の女性の座談会がある。そこでは「発音はあまり気にしないでいい」「文法がちょっと間違っていても、気にする必要はない」「カタカナ英語でも大丈夫と、ホッとできそうな「証言」があった。一方、フィリピン人男性の英語講師は「時にインド人の英語は理解できないことがあるし、豪州やスコットランド出身者の発音も聞き取りにくい」と明かす。同じ英語圏同士の人の会話ですらこうなのだから、外国語として英語を話す日本人が「通じなかったらどうしよう」と悩むなかれ、というわけだ。
もちろん、いつまでも「サバイバル英語」のレベルにとどまる必要はなく、語学力を磨けば会話の内容も仕事のうえでも幅も広がるだろう。ただ「入門段階」ではいくら知識を詰め込んだとしても、相手と向かい合った時点で言葉を口から発しなければ何も始まらない。英語はコミュニケーションツール、との理解が必要なのだ。