「民間企業の冬のボーナスが5年ぶりに増加」との予測を伝えるニュースが流れた。サラリーマンにとっては朗報といえそうだが、安心してばかりもいられないようだ。
別の調査では「ボーナスなし」との回答者が半数近くに上った。業種によっては、寒さが身にしみる年末になるかもしれない。
中小企業は伸び悩む可能性
みずほ証券が2013年11月1日に発表した民間企業の冬のボーナス見通しは、1人あたり36万7000円で前年比0.4%増、また三菱UFJリサーチ&コンサルティングの発表では、36万7500円で同0.5%増となっている。これらをまとめた11月8日付の日本経済新聞の報道では「36万9000円、1.0%増」だ。概ね、そろって昨冬に比べて増えるという予測は共通している。
三菱UFJの見通しを詳しく見てみよう。製造業の場合、特に自動車など輸出型の企業や大企業のなかには前年の水準を大きく上回るところも出てくるとする。非製造業は全体としては前年比増だが、中小企業の場合、「物価への上昇圧力が強まる中、コストの上昇によって利益が圧迫されるため、ボーナスは伸び悩む可能性がある」と指摘している。
それでも中小企業では、ボーナスの支給労働者割合は前年より0.3ポイント増の84.3%、支給労働者数も前年比0.7%増となる3889万人を見込んでいる。ただ製造業の場合、割合はアップしても労働者数は減少する可能性があるそうだ。
半面、こんな調査結果も出てきた。通販カタログの「ニッセン」は11月11日、30~40代の女性1300人を対象に実施した「ボーナスに関する意識調査」の結果を発表した。今年の冬のボーナスについて女性本人、また女性が主婦の場合は配偶者のケースを尋ねたところ、支給される予定との回答は約4割だった。これに対して「ボーナス制度がない」が41.7%、「制度はあるが支給されない」が6.3%となり、半数近くがボーナスなしの冬になることが分かったという。
生活の補てんのために使う
調査に寄せられた「ボーナスについてのエピソード」も興味深い。「子供たち4人で焼き肉を食べに行くのが恒例」「少しの金額ですが親に、『好きなものを買ってね』と、渡したところ喜ばれました」という心温まる話がある一方で、「ボーナスをもらったことがない」「いつもギリギリの生活をしてるので補てんの為です」「数年前に半額カットされて以来、いつまでも元に戻りません」と、切実な意見も見られる。
ツイッター上の投稿も分かれた。「冬のボーナス5年ぶり増」のニュースを「信じたい」「うそだ」と素直に受け止められないツイートがある。「これを買いたい」と楽しみにしている人はいるのだが、「冬のボーナス出ないっぽい」「出るか怪しいぞ」「下がるらしい」との嘆きも聞こえてくる。支給時期を迎える前から、悲喜こもごもの書き込みが並んだ。
全国ニュースで「ボーナス支給なし」を伝えられた企業もある。関西電力は、管内にある原子力発電所すべてが停止して運転再開の見通しが立たず、経営悪化が避けられないため今冬の全従業員へのボーナス支給を見送ることで労使の交渉が妥結したと伝えられた。九州電力も、創業以来初の「ゼロ」の可能性が高いという。
ボーナスなしが確定となれば、そろそろ街を彩り始めたクリスマスのイルミネーションも寂しく見えてくるかもしれない。