フィリピン英語留学で若者が得た「宝物」 語学上達以外にもあるこんなメリット

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   先日、某フィリピン英語学校の卒業式にお邪魔させてもらいました。

   その卒業生の一人、20何歳かの若者の卒業スピーチの言葉が素晴らしかったので、ご紹介させていただきます。

「以前の努力の出来なかった自分と決別できたと思います。」

   彼は、挫折を抱えて、フィリピンにきました。そして、7か月の長きにわたって、英語を勉強し続けました。その時間、約1900時間。土日も含めて、英語漬けの生活です。

手にした「成功体験」

長くて急な階段の先には、きっとなにかある! グアテマラ・ティカル遺跡のピラミッド
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   彼は入学時、英語が全く喋れませんでした。どれくらい喋れなかったかというと、講師が「彼はただミステリアスに笑っているだけだった(笑)」と言うくらい。TOEICのスコアは250点。でたらめにマークシートを埋めるだけでもとれるくらいの点数です。

   そんな彼も、卒業一か月前にTOEIC700点に到達しました。中学校一年生レベルが、そこそこの大学の英語の入試問題を解けるようになったくらいの進歩です。もちろん、発音やカンバセーションの練習もしているので、卒業スピーチでは、数十人の前で立派に英語でスピーチをしていました。

   TOEIC700点は、アジア海外就職で日系企業を目指すのであれば、多くの企業の採用基準をクリア出来るくらいの英語力です。しかし、アメリカやイギリス系の企業に就職したり、英語を売りに日本国内の企業で就職したりするには、全然足りないレベルです。それなりに使えるレベルだけど、ウィニングショットにはならないレベル。「7か月もかけてそれかよ」と思う人もいるかもしれません。しかし、私は、彼はこの7か月で英語力よりも大切なものを手に入れたと思います。それは「成功体験」です。

   人が一番成長するのは「成功体験」を得たときです。そして、その成功をするための苦労が大きければ大きいほど、その成長は大きくなります。

努力で伸ばせる点は思いのほか大きい

   何か苦労して成功したときには、自信がつきます。困難だと、自分には出来ないと思ったことに対し、立ち向かい、あがき、乗り越えるという体験。一度これを体験すると、その後、また別の困難が襲ってきたときにチャレンジする勇気と、乗り越える粘り強さを得ることができるのです。そして、何よりも、やり遂げたことに対する自信。自分を信じる力は、その人の佇まいを変えます。

   入学直後はどこか頼りなさげだった彼も、今ではフィリピン人と普通に話をし、楽しそうに生活しています。卒業スピーチを英語で話す彼は、堂々とした姿でした。

   「努力しない自分と決別できた」という自信は、きっと彼の今後の人生に大きな影響を与えます。例えば、就職活動をするにしても、「何を思ってフィリピンに行き、いかにして自分を律し、どれほどの努力をし、その結果こうなった」ということを堂々と説明することができれば、企業の担当者は「英語力は充分とは言えないが、彼は英語を使うプロジェクトに入れれば、自分で学習しキャッチアップするだろう」と考えてくれるはずです。

   前回、努力で到達できる点は限界があるというお話をしました。しかし、同時に努力で伸ばせる点は思いのほか大きいのも事実です。少なくとも、英語力なんかは現実的なレベルの努力で、実践的なレベルまで伸ばすことができます。そして、その努力と成果によって得られた自信があれば、日本でもアジアでも仕事は見つけられます。

若者に、成功体験を積ませる場を

   日本人に生まれた事のメリットはこういうことです。

   何か月かバイトするだけで、このような努力をするための場と方法を「買う」ことができ、その成果をひっさげて挑戦する場所が日本にもアジアにもあります。残念ながら、ここフィリピンの貧民街に生まれた月給数千円の人たちに、こんなチャンスは万に1つくらいしかないんです。

   今の若い人は、自信をなくしている人が多いと思います。そんな人は、自分が何を身につければ次のステップを踏めるかを熟考し、それを努力して身につけてみてください。苦労すればするほど、成し遂げた時の経験があなたを変えてくれます。

   ある程度歳がいった人は、是非若者に、成功体験を積ませる場を作ってあげてください。会社の管理職であれば、若者に適度な高さのハードルを提示し、そこを越えるための努力をするように仕向けてみましょう。それが彼らを成長させ、あなたの会社、ひいてはこの国を成長させてくれます。

   私も、若い人が成長できる場を作ろうと、今いろいろ仕込んでおります。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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