東南アジアに目を移してみると…
ひとつめですが、日本のサラリーマンの給料が20年近く概ね減少傾向であることからも分かるとおり、同じ点数を取っていたら給料は下がっているという現状があります。下がっている理由はたくさんありますが、20年前の人と同じ才能を持った人が同じだけ努力しても、得られる果実は少ないという可能性が高いです。
ふたつめに関しては、グローバリゼーションと機械化によって、簡単な仕事は給料の高い日本人がやる必要がなくなっているというのがあります。例えば経理処理に関して、数値の計算は昔は正確に仕事をこなすことの才能があってソロバンに関する努力をした人がやっていたのですが、今はコンピューターが全てやってくれます。また、伝票を記帳するような仕事はスキャナでスキャンしたデータをベトナム人やカンボジア人が文字おこしをしてくれるので、日本人が出る幕がありません。
こうやって、「努力したけれども、先人と同じような果実を得られない」という人や、「自分の才能+努力の結果では就ける仕事がない」という人が増えているのが、この「努力すれば成功する、は間違っている」という発言が話題になる理由だと思うのです。
東南アジアに目を移してみるとどうでしょう?
インドネシアでは今年(2013年)も毎年恒例の賃上げデモが行われています。今年は賃金を50%上げろといっているそうです(結局11%との発表がありましたが、労組側は大反発中です)。去年、一昨年は40%ずつ上がりました。インドネシアで職に就いている人は、クビにならない程度に働いていれば賃金は年々上がっていっています。
我々からしてみると、「ただ高度成長のインドネシアで働いているだけで」と思ってしまいますが、本人たちはそんなことは考えないでしょう。毎日渋滞の中、会社に行って、9時から5時まで働かされて、頑張って努力しているから俺の給料は去年の1.5倍になった!努力、最高!って思っている人が多いんじゃないでしょうか?
今、働き盛りのインドネシア人の多くは、自分の親を始めとする前の世代よりも明らかにいい暮らしができていますし、これから努力すればもっといい暮らしができると信じているでしょう。
実は、努力も報われるっていうのは、こういう外部環境によるところも大きいのかもしれません。