飛行機の離陸前に機内で放映される「セーフティービデオ」。みなさんもご覧になったことがあるでしょう。
しかし、救命用ベストの付け方やシートベルトの締め方などの代わりばえしない内容で、別に見る気は起こらない……という人も多いのでは。これからの旅行に気分が高揚していたり、出張先に着く前に一眠りしておきたい気持ちが強かったりで、それどころではない、といったところでしょうか。ビデオに合わせて実演するフライトアテンダントを見て、何となくいたたまれない気分になることも。
14種類のダンスを交え、「シートベルト」など説明
一方で、「だれもきちんと見ていない」ということは、実は航空会社も気づいているようだ。痺れを切らしたか、アメリカの格安航空会社ヴァージン・アメリカが、つい見入ってしまいそうになる斬新なビデオを製作した。
このビデオには、2人のオリンピック選手とアメリカの人気オーディション番組 American Idolのセミファイナリスト、そして36人のダンサーが出演する。
次々と変化するアップテンポな音楽に合わせ、ブレイクダンスやジャズ、タンゴなど14種類のダンスを交えながら、「シートベルト」や「救命用ベスト着用の仕方」、「電波を発する電子機器類の使用禁止」など、従来のビデオと同様のストーリーをミュージック・ビデオのように表現している。
例えば、ほとんど「ぐにゃぐにゃ」になるほど身体が柔らかく、シートに座ったまま普通の人では不可能な体勢でストレッチをするためにシートベルトを締めようとしない乗客や、ロボットダンスをしながら救命用ベスト着用の仕方を実演するスーツの5人組が登場する。
他にも、緊急脱出のため非常口に向かって通路のフットランプを奇妙な踊りで辿るダンサーやアフロ頭の少年パフォーマー、ラッパー少女など、コミカルなキャスト揃いだ。シスター姿の女性も登場、軽快な動きを見せる。
映像は全編で5分間。シートベルトなどそっちのけで、音楽・ダンス作品として楽しめそうな仕上がりだ。これなら思わず最後まで見てしまいそうだ。もっとも、ダンスや音楽に気をとられ、肝心の「救命用ベスト着用法」などが頭から吹き飛んでしまう可能性もありそうだが……。