泥酔して階段踏み外したら労災ではない
弁護士・佐久間大輔氏の2013年4月21日ブログにも、出張と労災に関する解説が書かれていた。ここでも、移動時間や宿泊中を含めた全行程が業務の遂行とみなされると説明されている。
だが、宿泊先のホテルで泥酔して階段を踏み外した、またホテルへチェックインした後に私的な飲食で外出し、けがをした場合などは「業務の範囲外」とみなされるという。一方、ホテルに宿泊して宿泊中に火災が発生してやけどを負った場合は、業務起因性が認められると説明している。
「宿泊先での性行為中にけが」の事例は見当たらなかったが、国内ではこんな判例があったようだ。出張中に会社が指定した宿泊先ではなく、現地で知り合った女性と別のホテルに宿泊した際に火災にあって焼死したというケースで、これは出張による業務を逸脱した行為と判断された。つまり、労災は認定されなかったという。
豪州の事例で最終的に労災が却下されたのは、たとえ出張中でも業務から全く離れた「私的な行動」の最中に被災したという見方が強かったためだろう。単に、ひとりで就寝していたら照明器具が落ちてきてけがをしたというのであれば、「業務の流れのなかでの被災」として労災が認められたのかもしれない。