日本の利権構造と「中間層」の関係 「金持ちイジメ」では改革は進まない

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   どうも日本で改革が進まないのは、利権とか既得権といったものが拒んでいるから、という話はずっと前からあります。それが非効率を生んでいると。

   ふと考えたのは、日本の場合、その利権とか既得権を誰がもっているかというと、天下り法人の勤め人だったり、農家だったりするわけですが、それらのひとが莫大な利益を得て、隠し財産をためている、というわけではありません。

彼らが中間層だということが、事を難しくしている

利権と中間層の関係とは…
利権と中間層の関係とは…

   その人達は保護されていて、あまり競争をせずにお金は稼げるけれども、楽でもなかったりする。市場とは競争しなくていいけど、社内で競争したり、社内の政治に延々とつきあったり、半沢直樹みたいな「戦い」をずっとやらないといけなかったり。

   利権の調整で、毎日、生産性とはかけ離れたことに時間と神経をつかっている。彼らもなにやら大変なのです。

   その彼らが中間層だということが、事を難しくしているのだと思います。

   途上国の利権はもっと凄まじく、庶民から徹底的に絞りとって、ごく一部の利権のボスの懐に金が全部入ります。ボスは私財を数十億円単位で貯めこむとか、そういうのが当たり前。だから、そういうひとを狙い撃ちにして、一掃すれば、はれて世間は多少良くなるし、庶民も清々しい思いを持つことでしょう。

   ここでは金持ち=不正=悪という図式が成り立ちます。

   しかし、日本で利権で食えている人の特徴は、特別な高所得者でもないし、不正蓄財もしていない、普通の中間層なのです。普通に天下り法人のノンワーキングおじさんだったり。保護されているけど、そんなに悪党でもないし、彼らも保護がなくなったら即座に失業して食えなくなるという意味では弱者です。

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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