2013年8月に発表された「ブラック企業大賞」のなかに、民間企業と並んで東北大学が「特別賞」に選ばれた。理由として、月100時間を超える時間外労働を強いられ、指導教授から叱責された助手が2007年に自殺したことなどが挙げられた。
不名誉な受賞となった大学では、学生新聞が兵頭英治副学長に直撃取材を試みた。本人は「ブラック認定」に対して、大学のあるべき姿を語っている。
「秘密厳守で一緒に考えます」と呼びかける
東北大学新聞は、大学の法務コンプライアンス担当の兵頭副学長にインタビューし、10月24日に一問一答形式で掲載した。
ブラック企業大賞「特別賞」の受賞について副学長は、「学生や教職員に心配な思いをさせて申し訳ない」と陳謝。続けて「このような形で取り上げられるのは極めて不本意で残念だ。外部からのそのような評価も解消してやるぞという思い」と吐露した。受賞理由とされた助手の自殺と、2012年1月に「2年以内の研究室閉鎖」を告げられたという工学部准教授の男性がやはり自殺している事案については「裁判中」を理由にコメントを避けたが、「大学としても誠心誠意尽くして対応してきた」と説明している。
これを読む限り、「当校はブラックではない」などと全面的に否定せず、ブラックと呼ばれた事実をいったん受け止めたうえで反省している印象だ。現に記者から今後を問われた副学長は、
「東北大学として『ブラック』と呼ばれるものを決して許容しないという基本姿勢をキチッと示していく」
と明言した。具体的な対策は「日常から追い込まれる環境をいかになくすか」と「万が一追い込まれた時の個々人の支援(セーフティーネット)」だという。表面化しにくい問題を解消するため、ハラスメントについて全体で意識するのも重要だと指摘し、教職員と学生ひとりひとりに問題の理解と行動を促した。
最後に副学長は、「ブラック」やハラスメントは深刻な人権侵害だと明言、そのうえで、こう呼びかけた。
「大学は皆さんの悩みや困難を真摯に受け止め、秘密厳守で一緒に考えます。一人で悩まないでください」