「ノースキルのまま就活突入」で大丈夫? 普通の中堅大学生の英語チャレンジに学ぶ

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   宮下さん(実名)は、典型的な英語も出来ないノースキルの文系学生でした。関西の中堅私大に通い、学部もいわゆる総合なんとかというやつで、広く浅く学ぶので、これといった専門スキルが身につくようなところではありません。英語はTOEIC500点。まったく喋れません。

   この状態で就職活動の時期を迎えた宮下さんは、どうしたのでしょうか?

留学とインターンシップを決意

「英語留学+海外インターン」で変わること
「英語留学+海外インターン」で変わること

   宮下さんの夢は海外で働くということでしたが、英語もできずに特別なスキルもなければ、海外に駐在させてくれるような会社に内定なんて出るはずがありません。

   仮にこのまま運良く、どこかの会社に内定をもらっても、海外の案件になんて携われるなんてことはなく、せいぜいブラックな仕事をずっとやることになるのではと。

   多くの人がそれでもなし崩し的に、それでも淡い希望をもって就活に突入して玉砕するのに対して、宮下さんが1つだけ慧眼だったのは、冷静にそれに気づいたことです。

   そこで1年休学し、留学とインターンシップに行くことを決意したのです。

   まずは英語をなんとかするために、フィリピンの語学学校に通いました。スパルタ式の学校で、平日は完全外出禁止、一日12時間勉強させられます。

   費用は学費、2人部屋の滞在費、朝昼晩の食事で月々約13万円。これで、4か月勉強したそうです。その後は、個人の家庭教師を雇い(月2万円)、2か月勉強。

   その結果、TOEICは800点になりました。これは、中堅私大の学生にとっては、自信をもっていいレベルです。

1年間の努力で、キャッチアップができるのでは

   その後、宮下さんは、職業経験をつもうと考えました。インターン先を見つけるのはたいして難しくないようで、無給であれば、簡単に見つかるそうです。インターンのエージェントをつかって、ニューヨークの日系企業のインターンの機会を斡旋してもらったそうです(もちろん英語ができたので合格)。

   現在は、ニューヨークにある日系のマーケティング企業で、資料作成や翻訳作業などをしているそうです。ネイティブの英語は早くて、言葉がつらなるので、一発では聞き取れないということですが、いまのところなんとか通用しているとのこと。そして、今年の12月に、就活のために帰国予定だそうです。

「TOEIC800点、NYで英語をつかってインターン経験あり、マーケティングの顧客むけの提案資料などをつくってました」

   これは、どう思いますか?

   この程度では就活の武器になりませんか?

   それとも、これなら自信をもって就活に挑めますか?

   先日出版した『英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?』では、ズバリ、1年間休学しての、英語留学+海外インターンを推奨しました。

   これにはいろんな反応があり、現実的でないとか、ハードルが高すぎるとか、費用がかかりすぎるとか、そもそもそんなことをやれるひとはノースキルではないとか、そんな話はごく一部のひとのはなしで一般化は無理があるので、そんなことをしなくても、もっと普通のひとが対策できる就活対策を教えてほしいという声もあり、そういう反論は根強いです。

   しかし、はっきり言いましょう。そんなことを言っているから、だから、ほとんどのひとがノースキルで英語も喋れないままなのです。

   例にだした学生は、天才でもないし東大生でもありません。TOEIC500点の、中堅私大の文系学生です。英語ができるようになることや、多少の実務経験を積むことは、べつに天才でも東大生でなくても可能です。

   なにも取り返しがつかない差ではない。1年間の努力で、キャッチアップができるのではというのが私のいいたいことです。

   もちろん、いまさらそんな努力はしたくないという人もいるでしょうが、そういう人は今後も一生ノースキルのままでしょう。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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