着服6つの手口とは
タイプ1:支払用の小切手を振り出す際に金額を水増しし、金融機関で現金化して、水増し部分を着服。隠蔽のために、未払いの買掛金を支払済みとして記帳。
タイプ2:現金で回収した売上代金を着服。隠蔽のため、当座預金に虚偽の入金を記帳。
タイプ3:勝手に小切手を作成し、現金化して着服。記帳はせずに簿外の出金として処理。
タイプ4:福利厚生費の名目で架空の経費支払いをし、現金を着服。
タイプ5:社員向けの立替金や仮払金で精算された回収金を着服。
タイプ6:社員の親睦や冠婚葬祭目的のために給与天引きされた積立金を着服。
もちろん、それなりの管理体制をもっている会社であれば、これらの不正を続けることは無理だろう。例えば、売上金を着服すれば、営業サイドの数字と経理の数字が合わなくなったり、取引先に督促状が行きクレームが入ったりして、1、2か月のうちに不正が発覚する。あるいは、普通は、小切手は一人で勝手に振り出せないし、経理の帳簿もそう簡単にはいじれないはずだ。
しかし、実際にこのような事件が上場企業関連で起きているのだとすれば、「まさかうちでは起きっこない」と考えるのは危険だろう。ルールはあっても現場で守られていなければそれまでかもしれない。
上記の事件が発覚した時、犯人の上司も部下も「まさか、あの人が」と絶句したのではないだろうか。親会社の経営陣や内部監査部門も同じかもしれない。しかし、ほとんどの不正はその「まさか」が突然現実となって企業に危機をもたらす。そして、一度事件が起きれば、「信じてたのに」という甘い言い訳は一切通用しない。
不正リスク管理に「あり得ない」「想定外」は禁句である。皆さんの会社の経理部門では、ベテランに任せきりの状況が放置されていないだろうか?不正を犯す側からリスクを見直したい。(甘粕潔)