営業の勝負を分ける一瞬 「立ち止まってもらう」テクとポイント

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相手が「得する」予見を示すこと

   大きくポイントは1つ。相手が「得する」予見を示すこと。

   先の保険のトップセールスレディーは、会社の受付で出待ちをして、ターゲットとする社員が出てきたら、缶やペットボトルのお茶を渡すそうです。すると、その社員は「何だろう」と思って立ち止まってしまう。たとえ150円のお茶でも、もらってしまうと、「悪いなあ」という気持ちになり、時間を割いてくれる。ちょっと子供だましのような作戦ですが、うまく行くことが多いそうです。

   なぜ、このやり方で相手を立ち止まらせ、自分の話を聞くために時間を割こうと思わせることができるのでしょうか。ヒントはセールスレディーが渡す「お茶」にあります。

   お茶を渡すと、なぜ相手は立ち止まるのか。それは、何だかんだ言っても、お茶をもらうと150円得するからだと私は思います。だから相手は、話にさほど興味を感じなくても、「ちょっとだけなら聞こうかな」と考えてしまうわけです。昔のセールスレディーの方法で言えば、「飴」に当たります。たかが飴ですが、だからこそ効果的なのです。もし、一万円札だったら、さすがに相手は「受け取れません」と言うでしょう。高額の物品でも同じです。しかし、飴やお茶だったらすんなり受け取ってしまう。賄賂でもないし、受け取っても気持ちの負担は少ない。つまり、ちょっと得してうれしい気持ちになる。だから、「立ち話ぐらいはいいかな」と思うのです。高いものを贈るより安いものを贈る方が効果的、というのは奇妙に思えるかもしれませんが、現実的に効果のある作戦として覚えておく価値があります。

   お茶がダメなら褒め言葉でしょう。誰でも褒められればうれしくなります。一般的に、女性は褒め上手が多いものです。日頃から互いに褒め合う習慣があるせいかもしれません。

   でも、男性は褒められる機会が非常に少ない。上司に怒られたり、お客様に叱られたりする機会は結構多いのに、誰かに褒められることはあまりありません。これは仕事でもプライベートでも同じでしょう。だから、褒め言葉のプレゼントは特に男性に効きます。褒め言葉を投げかけると、うれしくて耳を傾けてくれる可能性が高くなります。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
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