日本人の就活生と等しく扱う企業も
日本企業の外国人留学生に対する求人は旺盛だ。ところが留学生側は、是が非でも日本で就職したいとまでは思っていない。
独立行政法人の労働政策研究・研修機構は2013年3月29日、「留学生の就職活動」というリポートを公表した。その中に「外国人留学生の卒業後の進路希望」に関する分析がある。2005年度から2年おきに統計を取っているが、「日本での就職希望」と答えた割合は2007年度に61.3%となったものの、2009年度は56.9%、2011年度は52.2%と低落傾向なのだ。
ひとつの理由として、「日本企業の新卒採用試験が将来の日本企業の管理職候補者となる資質等が課題であり、これらが外国人留学生の日本企業に就職・勤務する上での大きな違和感につながっているとの指摘がある」という。また、留学生が希望しているのは「海外業務」が最も多く、2011年度で46.8%に達している。一方でディスコの調査では、日本企業の8割が採用した外国人の配属先を日本国内としていた。自分の希望がくみ取られにくい点も、日本での就職を選択肢から外す原因になっている可能性がある。
留学生向けの「特別枠」は設定せず、日本人の就活生と等しく扱う企業も少なくない。ウェブサイトからエントリーする際も「英語ページ」などではなく、一般学生向けと同じページに誘導する大手企業は何社もあった。入社後、業務に支障が出ないような高い日本語力を求めるだけに、ある意味で当然の処置かもしれないが、外国人にとっては日本語ネイティブと同じ土俵で就活を勝ち抜かねばならず、ハンディがあるのは事実だろう。
企業にとっても、外国人留学生は日本人学生と職に対する考え方が違う点を認識した方がよさそうだ。国によっては転職が当たり前で、キャリアアップにつながる好条件を打診されれば別の会社に移る人が出てくるかもしれない。日本人には少ない「離職リスク」にあらかじめ備えておくのも大切だろう。