「天狗」のテンアライドは「23時半閉店」が原則
居酒屋「天狗」や「テング酒場」を展開するテンアライドは、創業した40年前から「顧客満足の実現は、従業員満足から」を合言葉に、従業員への配慮を欠かさない企業だ。
店長手当のほか、住宅手当(家賃半額補助)や持家手当を支給。持株制度や退職金制度も完備している。アルバイトなら給与の週払いも選べ、経験を積めばバイトでも正社員並みの給与を得ている人もいるようだ。
休暇は通常の有給休暇に加え、産休、育休、介護休暇、そして夏冬各5日間の連続休暇制度がある。制度として存在するだけではなく、社長自ら「休みをとれ」と促しており、実際に取得できているようだ。しかも有休は、パートやアルバイトにまで付与される。
居酒屋ながら驚くのは、「全店舗、基本的に深夜営業ナシ。閉店は23時半」を徹底しているところだ。しかも、アルバイトも加入できる労働組合まで存在している。
「朝まで働いて昼間に眠るのではなく、昼間の時間は自分のために使い、健康的な生活を送って欲しい」
という思いから、店を開けていれば売上増間違いなしの新宿や池袋エリアの店でも、このルールに則って営業されているのが素晴らしい。さすがに渋谷では0時までの営業のようだが、それでも終電で帰れる時間だ。
言ってみれば、お客の「ありがとう」より、社員への「お疲れさま」を優先する会社と言えるだろう。「社員は家族」「ウチはブラックではない」と豪語する創業者の某企業よりも、よほどすぐれた労働環境だが、ことさらホワイトアピールをしない奥ゆかしさも同社の魅力だ。口先だけで努力や姿勢を語るよりも、「実際に何をやっているか」、というリアルを観察することが重要だ。(新田龍)