社会保険労務士・野崎大輔の視点
昇格、降格には会社の人事権行使の裁量がある
昇格、降格については法律で定められていませんが、会社を辞めさせるための嫌がらせのような権利の濫用でなければ、自由に行うことができます。会社には人事権行使の裁量があり、職務遂行能力の低下を理由に降格させることは可能です。A課長の体調も完全にはよくなっていないようですし、課長として期待される業務遂行もできていないのですから、正当な人事権の行使と認められます。
今回のケースでは、係長に代役を任せる期間が1年半というのは長すぎた気がします。Aさんの復職前にBさんの昇格の決断をしてもよかったのではないでしょうか。ただし休職中にAさんを降格にするのは、トラブルの元にもなるので避けた方がよさそうです。無理を強いれば病気が再発するおそれもあるのですから、降格は本人のためでもあります。