リクルートが、ちょっと変わったアプリを公開した。
メッセージアプリ「SeeSaw(シーソー)」は、閲覧していた写真や動画を設定した秒数で削除してしまうメッセージアプリだ。受信者がスクリーンショットでも撮らないかぎり、送信者の端末にも受信者にもデータは一切残らない。
内輪で楽しめる「炎上防止ツール」になるか
SeeSawの利用は無料で、電話番号による認証が必要だ。電話帳やフェイスブック、ツイッターのアカウントと任意で連携させることもできる。
アプリのボタンからカメラを起動し、写真や動画を撮影する。既存の写真を選択することも可能だ。写真や動画は、ペンやテキストボックスで加工もできる。
閲覧できる秒数は、1秒から最長8秒まで指定できる。宛先から友人を選択し、「送信」を押せば完了。受信したユーザーは「×秒間押し続けて!」という文字をタップすれば、送られてきた画像や動画を閲覧できる。
途中でタップしていた指を離しても、残り秒数のカウントダウンは続き、0秒になるとデータが削除されてしまう。
一般的なメッセージアプリは、送られたデータは削除しない限り、いつでも見ることができる。二度と見られなくすることに何の意味があるのか、と思ってしまうが、
「炎上防止ツール?」「告白写メとして面白いかも」
など、消えてしまうからこその使い方を思いつくユーザーもいる。どうせ残らないなら、内輪で盛り上がれるというもの。「バカ発見器」と言われることもない。
ビジネスモデルは「いまは明かせない」
SeeSawを開発したリクルートのメディアテクノロジーラボの担当者は取材に対し、
「気が置けない友人同士で、従来のSNSよりも気軽にやりとりできる場が作れないかと考えた」
と答えてくれた。
リクルートとしては、ここ数年で急速に普及したスマホユーザーとの接点を作りたいというねらいがある。そこで、スマホを頻繁に利用している人のDAU(デイリーアクティブユーザー数)を獲得できるサービスを検討した。
これまでリクルートでは、アーチストの世界観を表現したカメラフィルターが使えるアプリ「cameran」を公開してきた。構築されたアプリ群の上で、リクルートはどんなビジネスを展開するのか。
これまで得意としてきた広告ビジネスか、それともLINEのスタンプのような課金ビジネスか――。担当者は「いまは明かすことはできない」という。
海外にはすでに「Snapchat」という類似したサービスがある。1日3.5億件以上の写真や動画がやり取りされており、アメリカでは若年層が内輪ネタの交換や、カップル同士の秘密のやりとりなどで使われているのだという。
前出の担当者は、「VineやInstagramといった既存アプリのユーザーは、いかに美しい写真・動画を投稿するかを競っており、いわば『作品』を投稿する感覚。SeeSawは、より日常のライブ感のあるものを共有したいというニーズを埋められる」という。
多少の手ブレなどは気にしなくてよいし、消えてしまうからFacebookメッセージやLINEよりも気楽だ。会議中に同僚に変な写真を送りつけて笑いを誘う… くだらない暇つぶしだが、一度は試してみたい気もする。証拠も残らないことだし。(岡徳之)