伴侶に高収入を求める女性の「見栄と体面」
だが、実際に日本から離れられる人はわずかだ。サラリーマンなど大半は現状にがんじがらめで、海外移住どころではない。いまや年収1000万円層は、度重なる生活の切り詰めに追われる日々のようだ。
独身女性も、パートナーの年収が多ければ多いほどいいと考えているわけではない。「プレジデントオンライン」2013年9月27日によると、未婚女性が結婚相手に求める最低年収は「400万円~500万円未満」が34.8%と最多。「収入は問わない」を合わせると「500万円未満」が7割近くに達した、というのだ。
しかし「結婚難民」などの著書がある佐藤留美氏は、この結果から「昨今の独身女子は現実的」と結論づけるのは性急だという。女性には「自分のパートナーは、せめて『人並み』以上であってほしい」との本音がある、というのだ。
佐藤氏は取材経験から、「自分の周囲に高収入者および高収入者の伴侶が多い女性の場合、あるいは自分自身も高所得者の場合、自分の相手にも同じく高収入を求める傾向にあります」と説明する。例えば、航空会社の客室乗務員。
「彼女らの多くは、入社数年間は契約社員で年収300万円程度だったはずですが、自分の相手には年収1000万円以上の男性を求めています」
周りを見れば、同じ職場で働くパイロットや、顧客であるファーストクラスの乗客は高給取り。同僚がこうした男性と次々に結婚していけば「自分だって」と思うようになる、と指摘する。
とはいえ、いまどきの普通のOLの生活はそう裕福なものばかりではない。佐藤氏が引き合いに出すCAは例外的で、「見栄と体面」にこだわっても幸せになれないと気づいている女性も多いのではないだろうか。