途上国でも労働者の「欲望の暴走」が止まらない
偉い人にいろいろ要求することができるのは権利でもあるのですが、現状を理解しないで要求をするのは無責任で無意味です。さらに上の人が無責任だと、有権者に負担を強いることはしないので、問題は先送りされて未来に「倍返し」で返ってきます。
同様のことは、成長著しい途上国でも起こっています。インドネシアではここ数年、最低賃金が毎年20~40%ずつ上がっています。1年経つと全員の給料が1.4倍以上になるという異常事態です。インフレで物価が高騰しているのも関係しているのですが、インフレ率は年間6~9%程度。労働者の欲望が暴走している側面が強いです。さすがにこれでは企業はやっていられません。
しかし、最近のインドネシア人にとっては、給料がこれくらい上がるのは常識です。景気が踊り場状態に入った今年から来年にかけても68%もの賃上げを要求し、あちこちでデモを起こしています。
傍から見ると「そんなことをしたら国内企業が潰れたり、外資企業が撤退したりして酷い目に遭うぞ」と思うのですが、少なくともデモを先導しているインドネシア人の人たちにその言葉は届いていないと思われます。
とはいえ、政府頼み、企業頼みが抜けない私たちは、インドネシア人の無茶な賃上げ要求を笑えません。なかなか、やっかいな時代ですね。(森山たつを)