2014年4月1日から、消費税が8%になることが決まりました。私はいま東京出張中で珍しく民放を見ることができるのですが(フィリピンでは日本のテレビはNHKのみ)、これを論じる番組が映るたびに違和感を抱きます。
テレビのコメンテーターや街頭インタビューに答える人たちは、「消費税を増税することで自分たちの生活はどうよくなるのか?」と問いかけています。福祉は充実するのか、景気は良くなるのかと。あたかも増税すれば、日本が再び豊かになるとでも言いたげに。
「成長が常識」の人たちは事態を理解していない
しかし私には、「みんな、なぜ消費税を上げなきゃいけないのか分かってない」と思えてなりません。増税が必要な理由は「日本が貧乏になっているから」ではないでしょうか。
国全体を見れば、お金を稼ぐ人(労働者人口)が減って、お金を使う人(年金受給者)が増えています。相当なミラクルがない限り、国全体が貧しくなるのは確実です。
何とか現状を維持しようと借金をしまくりながら財政を回しているので、このまま行ったら破綻します。だから日本国民はそれを避けるために、手持ちのお金を吐き出さなきゃいけない。消費税3%アップは、日本人全員が3%ずつ貧乏になって国の借金を減らしていこうということです。この方向は今後もしばらく変わらないでしょう。
おそらく、今生きている日本人のほとんど(特に年齢が上の人)は、国全体が「貧乏」になるということを体感したことがありません。昨日より明日が「豊か」になることが常識の生活をしてきたので、このことを理解できないのだと思います。
海外から見れば「税収を増やさないで今のまま借り入れを続けてたら酷い目に遭うぞ」と思われているのですが、当の日本人はのんきなものです。「消費税が上がったら福祉が改善しなきゃ困る」みたいなことを言っちゃってるわけです。
成長戦略ももちろん大切ですが、同時に貧しくなることを受け入れて「誰がどれくらい貧しくなればいいのか?」というところから、税負担の増加を国民全員で受け入れることが必要な時代になっているのではないでしょうか。