一方的に利用していると「しっぺ返し」が待っている
鳴りやまない電話の嵐の中、私が仲良くしていた記者から厳しい忠告が入りました。
「大関さん、銀行の上の方々は間違っているよ。都合のいいことだけを書いてもらおうと思うのなら、新聞はそちらのリリースネタも含めて今後一切何も書きません。我々を利用する目的でお付き合いをしていただけなら、信頼関係はゼロじゃないですか」
そして、このままなら「銀行はそういう姿勢で顧客とも向き合っているのだ」と書きますよ、と啖呵を切られたのです。
これは大変なことです。当事者がノーコメントを貫き通す間にメディアがあることないこと書きたてたら、企業のイメージダウンは決定的になってしまいます。私はあわてて上層部にこのやり取りを話し、緊急会見を開くことで何とか事なきを得たのでした。
この手のマスコミへの対応ミスで致命的ダメージを受ける例は、世の中に多く存在しています。私もG社長に、「一方的に利用されていると相手が思うなら、信頼感は損なわれて痛いしっぺ返しが待っています。すぐに取材をしてきた記者に会って、会社としてのコメントを出すことです」と忠告しました。
社長は電話口でしばらく黙っていましたが、
「マスコミを『無料で広告をしてくれる相手』としてしか見ていない、その考え方を改めないといけないと言っているんだね。分かりました。よく考えて行動を決めます」
そう言って電話は切れました。その後、連絡はありませんが、数か月後にテレビ番組でG社長のお店が久しぶりに紹介されているのを目にしました。きっとメディアに誠意ある姿勢を示し、関係を修復したのだろうと思います。(大関暁夫)