社会保険労務士・野崎大輔の視点
「機会の均等」であり「結果の平等」でない点に留意
厚生労働省の通達では、男性労働者と比較して、一定の区分、職務、役職において女性労働者の割合が4割を下回っている場合、「格差が存在する」と判断されるとしています。職場に事実上生じている格差を是正して、男女の均等な機会・待遇を実質的に確保するために、事業主が女性を有利に取り扱う「ポジティブ・アクション」は法違反とはなりません。例えば社内に「女性の活用検討会」を設置するようなことは問題ありません。
とはいえ、男女雇用機会均等法が目的としているのは、その名の通り「機会の均等」であって「結果の平等」ではありません。管理職の登用は能力や適性で判断すべきであり、女性管理職の割合を目標化するのはナンセンスです。管理職には現実の組織を動かして結果を出すことが求められており、今回の部下の不満のように「これでは仕事が回らない」ということが続けば、A課長は「適性に欠けていた」と言わざるを得ないでしょう。