半沢直樹にみる、海外就職がおいしい理由

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   とんでもない視聴率を叩き出して幕を閉じたドラマ「半沢直樹」(TBS系、2013年9月22日最終回)。このドラマと海外就職に関係があるのか――というと、地味に数か所ありました。

   ドラマの前半、半沢は他人の不祥事を押しつけられてフィリピンの工場に出向させられそうになりますが、危機を「倍返し」して一件落着します。このドラマの中で「出向」とは、ドラゴンボールやキン肉マンにおける「死」と同義語で使われる言葉。フィリピン在住の私はいわば、地獄に住み着く餓鬼みたいな存在のようです。

「エリートが毛嫌いする道」を選ぶのも生き方

半沢がマニラ出向になっていたら、妻の花と毎週末こんなところでデートできてたはず
半沢がマニラ出向になっていたら、妻の花と毎週末こんなところでデートできてたはず

   いま銀行から出向してマニラ在住となれば、プール付きのコンドミニアムに住んで、社用車でお出迎え。夜はレベルの高い日本食とフィリピンパブという「酒池肉林」の生活ができます。

   元々持ってる日本の金融の知識に加えて、製造業の知識や現地の金融に関する法律知識などを身につければ、ゆくゆくは独立なども目指せるキャリア的にもいいステップです。

   しかし、そんな素敵な「出向」も、多くの日本人にとっては「超人墓場」的な扱いです。それもそのはず、日本人のパスポート保有率はまだ二十数%。多く見積もっても、半数以上の日本人は海外旅行にすら行ったことがないのですから。

   私がどんなに「世界が狭くなった!」「成田―マニラの航空券を1.5万円でとった!」などと騒いでも、多くの日本人にとって海外出向とは、一度行ってしまったらドラゴンボールでも集めないと戻って来れない、この世とは違う場所なのでしょう。

   私が「海外就職は若い人にとって大きなチャンスだ」と言っているのには、このような背景があります。半沢直樹みたいなエリートが毛嫌いし、多くの普通の日本人はその存在すら知らない「海外で働くという選択肢」。

   それ故に国内の一流企業を目指すよりも倍率が低く、結果を出せば頭角を現すことができるのです。組織も小さいので、派閥争いなどもあまりありません。

   半沢直樹にように真っ正面から突き進んでいき、実力で障害を突破していくのもひとつの生き方です。しかし、楽しい仕事をやる方法は正面突破だけではなく、横道、裏道から入っていくというやり方もあるのです。

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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