危ない「底上げ」の女性活用 急ごしらえ管理職ではトラブルも増える

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   安倍政権の「女性活用」の掛け声とともに、女性昇進バブルの到来が予想されている。従来のオジサンだらけの会社よりも少しまともになる期待がある一方で、管理職への無理な引き立てをすれば大混乱に陥ると予想する人もいる。

   女性ブームの犠牲になって有能な男性の出世が遅れれば、本人だけでなく長い目で見た会社の損失にもなりかねない。ネット上のQ&Aサイトには、すでに「女性上司」が引き起こすあつれきを目にすることができる。

営業成績が悪いと「泣いて部下に八つ当たり」

若い女性の言動が気になるのは、何か理由があるのだろうか
若い女性の言動が気になるのは、何か理由があるのだろうか

   女性といえば「優しい」というイメージがあるが、女性上司の罵倒の激しさに悩む会社員は少なくない。「被害者」は若い人に多く、性別を明かしていないQ&Aも若い女性と思われるものが目につく。

「大したミスではないのに、他のメンバーの前で大声で責める」

   女性上司と顔を合わせるのが嫌になったという入社4年目の会社員は、一度は辞める決意を固めたが、翻意を促されとどまったことを後悔している。

   Q&Aサイトで転職すべきか相談を投げかけたが、回答者は「会社の雰囲気を壊すのはいつも女性上司」として、どこでも同じことが起こる可能性があるから我慢できるなら転職は考え直した方がいいと述べている。

   「妄想がひどい12歳上の女性上司」を持つ会社員は、上司の怒り方が怖くてストレスがたまっていたという。問題解決のためのアドバイスはなく、「誤解したことの謝罪」も一切なかったそうだ。

   営業成績がひどいと「泣いたりして情緒不安定になり部下に八つ当たり」する29歳女性上司について意見を求めるものもあった。嫌なことがあるとあからさまに態度に表し、仕事のことで話しかけても「冷たく一言二言発する」だけで部下に息苦しくさせていた。これでは働きにくくてたまらない。

「育休取るなら席はない」と言い放った28歳女性上司

   生活情報サイトのAll Aboutには、28歳女性から長期育休取得の際に嫌味を言われたという相談を寄せていた。

「女性の敵は女性って、本当なんでしょうか」

   妊娠報告を聞いた上司は「半年以上休むなら席はなくなっている」旨の発言をし、他部署で前例があってもウチの部署は別、と追い打ちをかけたという。

   この相談に回答者は「敵じゃなくて『アンテナの違う仲間』と理解できたら、みんな仲良くできるような気がする」とアドバイス。上司のアンテナは仕事上の責任に向いており、相談者の女性は妊娠・出産に向いているというわけだ。

   経済評論家の勝間和代氏は日経ビジネスオンラインの特集記事で、日本の女性活用は他の先進国と比べ「一世代分遅れている」とし、企業の女性登用について「今後働く女性の数が増えれば自然と解決されていくのでは」と述べた。

   DeNA創業者の南場智子氏も同じ特集で、経済界の積極的な女性活用について「大賛成」とする一方、女性管理職を増やすための底上げ人事は「頑張っている女性に失礼」と指摘し、「クオータ制(一定割合の女性枠を設けること)のように女性管理職を増やして短絡的になるのは支持できない」と述べた。

   確かに我が国の女性活用の遅れは、組織やキャリア全体を覆う構造的な問題から来ており、数字だけを取り繕ってもムリが出るだけだ。女性のキャリアに対する基本的な考え方を改め、採用から変えて数年単位で花が咲く取り組みが必要なのかもしれない。

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