正常値より低い場合には「補充療法」もある
男性更年期障害は、うつ病との区別がつきにくい。症状は十人十色で、なんとなく調子が悪い、だるい、疲れやすいなどの身体的な症状だけでなく、やる気が出ない、前向きになれないなど精神的な症状を呈することもある。
小林院長によると、このような患者には精神科と泌尿器科とが知恵を出し合って一番良い治療法を取るべきだという。男性更年期障害でも、うつ症状の心のケアは精神科医がサポートし、うつ病の場合でも泌尿器科の医師がサポートすることもある。
診察は最初に血液検査を行い、テストステロンの値が正常値より低い場合には男性更年期障害の可能性があるので、テストステロンを少しずつ補充しながら様子を見る。うつ病である場合は、抗うつ剤や抗不安薬で対応する。
パソコンやスマホ、SNSなどに追い立てられてストレスの多い30代を過ごした結果、ホルモンバランスが崩れやすくなることもある。小林院長は現代人の生活について、「当たり前のことが当たり前にできなくなっている」と指摘する。
「当たり前のこと」とは、バランスの良い食事をとり、質の良い睡眠を取り、適度な運動などストレス解消の時間を取り、心身ともに健康を保つということだ。
「特に現代人には、質の良い睡眠が必要。寝る前はパソコンなどの端末とにらめっこせず、部屋を暗めに保つなど意識的に眠りに入っていきやすい環境をつくる。これだけでも生活の質は上がるはずです」
急には無理でも30代から少しずつ生活の「質」を上げることが、将来の変調を予防することにつながるのだ。