現地採用をバカにする駐在員なんか「倍返し」してやれ!

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   日本人が海外で会社員として働く場合、大きく分けて2通りの働き方があります。日本の会社で働き、期間限定で海外に派遣される「駐在員」と、現地法人に現地で採用される「現地採用」。同じ日本人でありながら、その待遇や役割には大きな違いがあり、場合によってはそこに軋轢が生まれます。

   なにせ会社支給の最高級マンションに住んで、給料も日本にいるときの倍近くもらっている駐在員と、月給15~30万円程度の現地採用。この格差を自分の中でうまく消化できない現地採用の人は、精神的に厳しい状況に追い込まれてしまいます。

基本的に「人は人、我は我」でいくべきだけど

ビジネスを現地化させるための「現地採用」は非常に重要なのだが
ビジネスを現地化させるための「現地採用」は非常に重要なのだが

   ただ、この駐在員という制度、日本企業に限ったものではありません。私が外資系企業に勤めていた時にも、アメリカ人やインド人が「駐在員」として日本にやってきました。

   彼らは(たぶん会社の金で)渋谷や六本木の一等地の億ションに住み、ビジネスクラスで本国と往復し、何不自由ない暮らしをしていました。当時、ワンルームマンションに住んでいた「日本現地採用」の私は、彼らに対して煮えたぎるような嫉妬心を……抱いていませんでした。まったく。

   そもそも彼らと我々では、役割が違います。日本の顧客とのやりとりをする我々と、アメリカのエンジニアとやりとりをする彼ら。日本の顧客とやりとりができる日本人は日本国内に山ほどいますが、本社のエンジニアとコネクションがあり、密なやりとりを行う事ができる人は日本に数えるほどしかいません。

   会社命令でアジアの極東に飛ばされて、家族と離ればなれで暮らすことを強いられている彼らが、我々と同じ報酬でいいとも思えません。そもそもアメリカのエリートエンジニアと、日本の普通のサラリーマンというスキルのレベルの違いもあります。

   これだけいろいろ違いがあると、比較する気もなくなり、うらやましいとも思わなくなります。人は人、我は我。されど仲良し。個人的な意見としては、日本人の駐在員と現地採用も同じだと思います。

   たとえやっている仕事が表面的にはあまり変わらなかったとしても、過去に積み重ねてきたものや、これから期待されていることの違いが待遇に現れているのでしょう。

   私がアジアの現地採用として働いていたとしても、インド人駐在員を見たときのように「人は人」で片付けられると思います。――とはいえ、理不尽な思いをすることも多々あるのが現実です。

「しょせん現地採用」という会社は踏み台にしてやれ

   たとえば、現地法人の重要な役職は駐在員がやると決まっており、どんなに現地採用が結果を残しても上位のポストは掴めず、給料も伸びない会社があります。役割やスキルが変わらないどころか駐在員の方が何も分かっていない場合など、同じ日本人であるだけに鬱憤がたまるかもしれません。

   ただ、全ての会社がこのような会社ではありません。駐在員という制度はあまりにもコストがかかりすぎて、継続が難しいと考えている会社はたくさんあります。そのような会社は現地人や現地採用のスタッフを積極的に高いポストにつけ、ゆくゆくは駐在員をなくしたいと考えています。実際、駐在員ゼロの日系大手企業も何社も知っています。

   もし、現地採用として長年働き、結果も出したのに上にあがれない場合は、このような会社に転職すればいいと思います。スキルは会社の中で出世するためだけに身につけるものではありません。自分が活かせる職場に転職するためにつけるものでもあるのです。

「現地採用なんて、しょせんは使い捨てだよ」

なんていう人もいますが、そんな人がいる会社は踏み台にして、こちらが使い捨てて「倍返し」してやればいいんじゃないでしょうか?

   これは海外で現地採用をする場合だけではなく、日本国内で働く場合も一緒です。「会社が○○してくれない」なんて文句を言っても何も始まりません。会社がそれをせざるをえなくなるような発言力を付けたり、それをしてくれる会社に転職できるスキルを身につけることが、サラリーマンが生き延びるのに一番大切なことです。

   職業選択の自由があることは素晴らしいことです。その自由を有効活用できるよう、自分の価値を高めましょう!(森山たつを)

※7月に刊行した「セカ就!」の外伝を電子書籍で出版しました。本巻は、この駐在員と現地採用について掘り下げた話です。10月1日まで特別価格99円を設定しました。
森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
姉妹サイト