セックス回数が週4回以上の人は、3回以下の人より給料が高い――。そんな記事が2013年8月13日、米CBSテレビの電子版に掲載された。このニュースは数日後に日本に転電され、日刊スポーツが「給料増やしたいならSEXを」という見出しで8月18日付紙面と電子版で報じている。
調査はドイツの労働研究所が実施し、7月に論文を発表。記事はその著者である英アングリア・ラスキン大学のニック・ドライデイキス講師(経済学)が、CBSの取材に電子メールで答えたものだ。セックスとチン上げには本当に関係があるのだろうか。
調査対象はギリシャ人。「じゃあなんで財政危機なんだ」
調査は2008年に実施。ギリシャに住む26~50歳の7500人を対象に、セックスの頻度や就業形態・報酬のほか、健康状態などについて聞いた。同性愛者も対象に含まれるという。
コンドーム世界大手の英デュレックスの調査によれば、ギリシャ人の年間セックス回数は世界一。164回と世界平均の103回を大きく上回り、日本の平均48回の3倍以上。もし収入に関わるのであれば、セックス回数が世界最下位で極端に少ないといわれる日本人には聞き捨てならない説である。
その一方でギリシャは、一連の欧州債務危機で債務不履行(デフォルト)の可能性も取りざたされただけに、「セックスすれば収入が上がるのではなかったのか」「じゃあなんで財政危機なんだ」と説得力は後退しがちだ。
日本のネットユーザーも、「原因と結果が逆」とツッコミを入れている。お金を稼ぐ人はパートナーを引きつけることができて、結果的にデートやセックスの機会も増えるというわけだ。「性欲の強い人は確かに仕事にも精力的」と指摘する人もいた。
「週に4回は多すぎないか」という日本人らしい意見も。セックスをアクセントに出世物語が展開する人気漫画を引き合いに、「島耕作読みすぎ」という書き込みもあった。
CBSの記事へのコメントのなかには「これは研究ではなくアンケート」と指摘したうえで、「セックス履歴や収入履歴を大げさに言っている回答者が少なからずいる」という発言も。ギリシャ人は、そんなところまで見栄っ張りらしい。
ドライデイキス講師自身も、CBSの取材に「この調査はセックスと収入の間に何らかの関連があったことを示しただけ」とし、数字上の相関関係はあったが因果関係までは明らかでないということをほのめかしている。