社会保険労務士・野崎大輔の視点
「実際の通勤手段に関わりなく」支給する会社もある
「通勤費は実際に掛かった金額を支給する」というルールを就業規則に定め、それを周知徹底している場合には、それを破った社員にペナルティを課すのは当然です。不正受給した金額の大小や悪質性によって、始末書提出や減給、降格などの処分を検討します。また、民法上の時効により過去10年までさかのぼって返還請求することができます。
ただしルールが不明確で周知徹底されていない場合には、いきなりペナルティを課すことが難しいかもしれません。「実際の通勤手段に関わりなく公共交通機関を使った際の費用を通勤手当として支給する」と定めている会社もあり、この場合には実際にその交通手段を使っていなくても問題ありません。ご相談の会社では、就業規則に通勤費支給の基準や方法、通勤費の不正受給が発覚した場合の返還請求期間、処分などを定めておくとよいでしょう。通勤手当の事後の確認として、定期券のコピーや領収書を提出させる会社もあるようです。