臨床心理士・尾崎健一の視点
「上司が絶対」のマネジメントでは組織は柔軟性を失う
課長は組織の秩序を乱したとしてA君を処分したがっているようですが、「上司が絶対」という組織のまとめ方は常に正しいとは限りません。確かに統率を最優先するなら、上長に対するあらゆる批判は禁じられます。しかし、組織を取り巻く環境の変化が大きな時代には、組織にも多様性や柔軟性も必要です。反対意見や批判をすべて押さえ込むことは、組織が変化に対応する大きな妨げになります。
今回の件は、A君の発言内容が不当だったり一方的に非礼だったりしないので、職位の上下にかかわらず通常の意見の対立として捉えてよいと思います。むしろ違った意見こそが変化を促したり、新たな機会を見つけることになります。普段から考え方の違いを言いやすくし、落としどころを探れる組織風土を作りたいものです。人事が介入するとすれば処分を考える前に、課長が非礼と感じた部分とA君の考えを言い合う場を作り、和解を促すというところでしょうか。