昨今の日本はモノであふれていて、「これ欲しい」と思えるような魅力的な製品はなかなかありません。どれを取っても大して違いがあるようには見えないからです。
ただ、そんなモノが溢れる時代でも「違いがある」と思わせる製品はゼロではありません。驚くような低価格を誇る飲食店だとか、個性的なデザインを持つ日用品は、とがった特徴が存在感となって指名されています。
無難な存在はスルーされるだけ
もちろん、とがった分だけ「これ嫌い!」と思う人も現れるでしょう。とはいえ、とがっていない存在は「好きでも嫌いでもない」とスルーされるだけ。嫌われることを恐れて無難なモデルしか投入できない会社は、生き残ることができません。
これは個人においても同じことが言えます。「この分野は、あの人に任せたい」と思われるポジションが取れれば、仕事に困ることはありません。
マーケティング用語で、相手の中に自社製品の特徴を位置づけ、独自の差別化イメージを作ることを「ポジショニング」と言いますが、それを個人にも適用するのです。
そのときに必要なのは、先ほども書いた「とがった部分」になります。ただ難しいのは、とがった部分を嫌う人も出てくること。そうすると、周囲にうまく認めてもらうためのプロモーションも必要になってきます。
以前面談したコンサルティングのAさんは、自分では「とがった部分なんてない」と言っていました。職場の評判も「仕事が遅い」「クライアントの現場の意見に振り回されすぎ」というもので、Aさん自身もその点を改善課題と考えていたようでした。
しかし、過去の仕事を掘り下げていくと、クライアントから「我が社のことをよく理解しているね」と称賛されたことが一度や二度ではないことが分かりました。彼には「現場の声にとことん耳を傾ける」という「とがり」があったのです。