社会保険労務士・野崎大輔の視点
これはパワハラではない。退職勧奨や解雇という措置も可能
いわゆる「追い出し部屋」がパワハラ行為として問題になるのは、それが「不当な動機・目的をもってなされ労働者に不利益を負わせる」場合です。たとえば何の落ち度もない人を、ただ社長が気に食わないからといって、達成不可能な過重なノルマを課したり、逆に草むしりのような過小な要求しかしなかったりする場合が当てはまります。しかし今回のケースは、会社がAさんの雇用を守ろうと、異動先を探す努力をしたがどうしてもその仕事しかないのですからパワハラではないと思われます。会社はAさんに理由を説明したうえで退職勧奨をし、それでも受け入れられない場合にはやむなく解雇することが可能です。
日本企業の場合は雇用維持が最優先されるので、仕事とスキルのマッチングに無理が生じやすい状況にあります。本人が現状に不満を抱いているのであれば、環境変化への適応が欠かせず、スキルアップしていただくしかありません。