現代日本人の「人生の選択肢」 多いか少ないか

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入社した途端に選択肢を一気に狭める日本の大企業

   一方、膨大な選択肢の中から自分に合ったものを見つけ出し、日本の一流企業に正社員として内定をゲットした「勝ち組」には、大きな変化が待ち受けています。人生の選択肢が年々減っていくのです。例えば大手自動車会社に入ると、次のような「レール」が待っています。

22歳 社員寮に入寮(=同じ給料で寮がない会社に転職しにくくなる)
25歳 ローンで自動車購入(=駐車場がないところに住みにくくなる)
30歳 結婚して社宅に入る(=引っ越しできなくなる)
35歳 会社の優待住宅ローンでマイホーム購入(=絶対に会社を辞められなくなる)

   特に、会社のローンでマイホームを買うと、会社を辞めた時に全額返済しなくてはならないルールになっている場合があります。転職をする際に借り換えしようにも、信用度の高い大企業から転職する際には借り換え金利が上がる可能性が高いので、ローン支払額が増大します。

   このようにして自分で自分の選択肢を減らしているのですが、そのことで不幸になる人ばかりではなく、幸せになる人もいます。前回も書いたように、選択肢が多いことは必ずしも幸せなことではないからです。

   会社の周りの人と同じように車やマイホームを買い、言われた仕事をこなしながら、イヤなことがあれば飲み屋でくだをまき、ビールを飲みながら「倍返しだ!」と戦うドラマの主人公を見てスッキリする人生も悪くないです。そんな人たちにとって、新卒時に広い間口で大企業が受け入れてくれて、その後選択肢を狭めてくれる日本の終身雇用の仕組みは、非常に良くできていると思います。

   しかしキューバにも「一刻も早く亡命したい」という人がいるように、選択肢が多い方が幸せな日本人もいるわけです。私は「就活」の儀式でいい選択肢を選べず挫折してしまった人や、就活で「勝った」のにその後の人生の選択肢の少なさに疑問を持っている人たちに、様々な人生の選択肢を提供したいと思っています。(森山たつを)

現代日本は「選択肢」が多いと思いますか?
思う
思わない
考え方次第
森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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