米国の旅行予約サイト「エクスペディア」の2012年調査によると、日本人の有給消化率(38%)は、前年に続いて22か国中最下位。何かと働き過ぎが指摘される日本人だが、長時間の仕事は「髪に良くない」というウワサがある。
「PCを使った仕事などに長時間没頭すると、神経が戦闘態勢になり過緊張の状態が続きます。これが末梢血流を悪くするので、抜け毛を増やす原因にもなるのです」
こう話すのは、薄毛治療の臨床数や改善事例で国内最大級を誇る脇坂クリニック大阪の脇坂長興院長(大阪 梅田)だ。
睡眠「5時間以下」では必ず抜け毛が増える
最近、抜け毛相談の来院者が多いと感じるのは、昇進して役職がついたばかりの人や、設計士やライターなど「終わりのない仕事」を持つ人だという。
「長時間仕事をする人や過緊張の状態が長い人は、寝不足になりやすい。睡眠時間が5時間以下の人は、臨床的に必ず抜け毛が増えると言えます」(脇坂院長)
さらに追い打ちをかけるのが「一服のタバコ」。心身がリラックスするように思えるが、喫煙で動脈硬化が進行してしまい、頭皮の血流が確実に悪くなる。髪にとって百害あって一利なしと言えそうだ。
働き盛りの30代サラリーマンには馴染み深い、過緊張や睡眠不足、タバコ…。すぐに改善させるのは難しそうだが、脇坂院長はこんな秘策を提案する。
「もし寝不足を感じたら、昼寝をするといいですよ。昼の睡眠は夜の2倍の効果があるので、たった30分で1時間分の睡眠効果が得られます」
時々、公園や喫茶店でうたた寝をしているサラリーマンを見かけるが、仕事にとっても髪にとっても非常に良い習慣なのだ。アメリカでは15分~30分の仮眠を「パワーナップ」として推奨している企業もあるという。
髪に良い運動は「ボケーッと歩いて帰ってくる」こと
さて勤務時間が終わると、まっすぐ家に帰る人もいれば、ストレス解消に時間を費やす人もいる。髪を大切にしたい人は、そうした「非労働時間」の習慣にも気を配りたい。
スポーツジムへ通ったり、ランニングをする人もいるだろう。「運動で血流がよくなって髪が増える」といったウワサもあるが、実は「やりすぎ」は髪には良くないのだという。
「好きなスポーツに懸命になりすぎると、一時的に身体が無酸素運動の状態になります。しかし髪には、ストレスがない有酸素運動の方が良い。少し長めの距離を、ボケーッと歩いて帰ってくるくらいがちょうどいいんです」
また、運動には洗髪がつきものだが、最近流行りの「湯シャン」(シャンプーを使わない洗髪)にも注意が必要だ。泡が立たないので髪の毛同士がこすれやすく、かえって痛みやすいというデメリットもある。
さらに「湯シャン」では頭皮の毛穴に詰まった脂を溶かしきれず、頭皮がキレイにならない。育毛剤を使う場合も、毛穴が清潔なほうが「吸収がよくなる」ので、泡立ちが良く頭皮にやさしいシャンプーで洗った方が良いそうだ。
間違った生活のクセを重ねると、髪に余計な負担をかけて抜け毛を早めることになってしまう。髪にとって良い習慣を知り、実践していきたいものだ。