企業に求められる「ブラックなおバカバイト」を前提とした備え

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   最近の暑さのあまり、アイスケースや冷蔵庫の中などで涼をとるアルバイトが続出している。7月にローソンで発覚して以来、ミニストップ、バーガーキング、ほっともっと、丸源ラーメン、ブロンコビリーなどで発覚。店は営業休止や消毒対応など大わらわだ。

   この種の問題は、経営者が「安いコストで会社や店を運営していこう」と考える限り、避けがたく生じるものだ。消費者側は安さを追求するが、安さにはそれなりの理由がある。店だけを責めるわけにはいかず、客としても安いなりの覚悟が必要と考えておいたほうがいい。

同じことが起こる前提で「事前準備」と「事後対応」を

バイトで店を潰すリスクを考えておくべき
バイトで店を潰すリスクを考えておくべき

   とはいえ、「バカバイトしか雇えないブラック企業VS勤務先を潰すブラックなバカバイト」と面白おかしく眺めていられるのは他人事のうちだ。自分の店や会社で同様のことが起こってしまってはたまらない。

   バイト側に悪意がある場合は会社の採用ミスだし、彼らに「報復したい」と思わせるほどブラックな環境にした会社も悪い。しかし今回発覚したケースは、「仲間内でウケたい」という程度の悪ふざけによるものと考えられる。

   自分や周囲が「何でそんなに騒ぎになるのか分からない」といった反応を示すくらいなので自浄作用は期待できない。巻き込まれるリスクを覚悟し、「事前準備」と「事後対応」を決めておくことが必要である。

   事前準備には、例えば次のようなことが考えられるだろう。

1.モバイル機器の管理
大騒ぎの一因がネットへの流出と考えると、勤務開始時に携帯電話類は会社側が一括で預かり、緊急連絡は代表電話宛にさせるようルールづけする、という方法がある。機密情報の漏えいを警戒する会社では、現に行われていることである。
2.採用前のSNSチェック
手間にはなるが、採用時に当該人物のSNSアカウントを確認し、社会的モラルに反した言動や行動をとっていないかチェックすることも一定の有効性はある。ただしサブアカウントを保持している場合は把握が困難だが…。
3.契約による抑止
トラブル時の対応について「故意に迷惑行為をおこなった場合、損害賠償や解雇もありうる」と定めるのも、万一の際の手続きのために欠かせないし、悪ふざけの抑止力になる。ただし賠償請求できたとしても、民法の規定や判例から損害金額の3分の1くらいになるだろう。
新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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