オフィスで仕事中にヘッドフォンで音楽を聴いている人が、若い世代を中心に増えているようだ。「好きな音楽を聴くと気分があがる」とか「周囲の雑音が耳に入らなくていい」といった理由だという。
ニコニコ動画には「作業用BGM」というタグを含むファイルが12万件以上もアップされている。「自分勝手なふるまい」と眉をひそめる向きもあるが、能率アップの効果もそれなりに期待できるようだ。
すでに5人に1人が「マイ音楽」を聴いている
USENが2013年7月10日に発表したアンケート結果によると、仕事中に「マイ音楽」を聞くと答えたのは、回答者400人の21.5%。すでに5人に1人を超えているのである。
「信じられない」と思う人もいるかもしれない。実際、同僚が音楽を聞いていた場合「不快」「やめてほしい」と考える人は48.8%と、半数近くになる。理由は「ビジネスマナーとしてよくないから」が64.4%で最も多く、「電話を取ってくれないから」(51.8%)、「話し掛けづらいから」(46.2%)、「自分勝手な行為だと思うから」(41.5%)と続いている。
得意先のオフィスを訪問し、こちらからあいさつしたのにもかかわらず、社員たちがヘッドフォンで思い思いの音楽を聴きながら見向きもしなかったら、不快になる人がいる可能性はある。
とはいえ、音漏れには気を付けていれば、周囲の雑音になることはないし、話しかけられればすぐに外すことができる。接客業などを除けば、悪影響が生じる職場は少ないのではないか。
一方で、マイ音楽を聞いている人の理由は「集中したいから」が68.6%を占めている。本当に業務の効率アップになるなら、一律に「音楽を聞くな」というのもおかしな話だ。
音楽と仕事の効率の関係を調べた人がいる。かつて病院の勤務医で、現在は英国で大学講師を務めるスチュアート・ファーリモンド氏だ。2012年2月6日付のブログによると、ドイツの研究者が過去の複数の実験結果を集めて分析し、そこから信頼性が高いと判断した97例について公表したという。
結論は、仕事にとって音楽は「有効」「有害」が半々に分かれたが、各実験にはいくつかの共通項があったという。それは、音楽を聴くことがプラスに作用するケースがあるということだ。