社長! メインバンクは 「大きい方がいい」というものではありません

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地元中小企業の「支援」を大事にするのはどちらか

   その後、私が退職した後のこと。その会社はリーマンショックの影響をモロに被り業績が急激に悪化。それを機に大手行に金利を大幅に上げられた後、有無を言わさず融資をストップされてしまいました。

   あわてて旧知の複数の地銀に融資を申し込んだものの、時すでに遅し。資金繰りを改善するに至らず、メイン行の仲介で大手企業グループへ売却される憂き目に遭いました。

   もちろん、メインバンクを地銀のままにしていれば結果が違ったか否かは分かりません。しかし、少なくとも私が元地銀支店長の立場で考えるなら、地銀の融資姿勢は大きく違っただろうとは思ったものです。

   そもそも地銀の役割は、地域経済の発展に寄与することにあり、地元中小企業との接し方も「支援」が基本です。大手銀行に「支援」の心がないとは言いませんが、やはりその役割は「大手企業への円滑な資金供給やサービス提供」が主です。

   比較的収益性の高い中小企業に触手を伸ばしているのは、大企業相手の収益性低下の埋め合わせ感は否めず、ある時点で手のひらを返したように「資金回収」と「収益確保」を最優先するように感じることも仕方ありません。

   私の説明に、「銀行は規模が大きい方が安定感があって頼りになる、と思っていたけど、そうとばかりも言い切れないんだね」と社長は頷いていました。「銀行はどこも同じ」と思っている人が多いのかもしれませんが、地銀も特色ある活動を展開してアピールするべきなのかなと思わされます。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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