臨床心理士・尾崎健一の視点
労災認定されなかったら会社が見舞金を支払っては
他の社員への影響も考えると、若手のホープであるAくんが会社や仕事に対してネガティブな感情を持つことは、会社にとって大きなダメージとなります。雇用の流動化が進む中で、優秀な社員の退職やモチベーション低下は、中小企業の競争力を大きく損ないます。来年以降の旅行にも支障が出るかもしれません。アットホームな雰囲気は、一朝一夕にはできません。ここは会社と社員の距離感を縮めてもらえる機会と捉え、積極的に支援してよいと思います。
今回のケースは、本人の不注意ではなく不慮の事故といえます。社員旅行への意識は「全員参加が暗黙のルール」で、不参加という選択枝がなかったかもしれません。認定されるかどうかは別として、会社として労災申請手続きを支援し、仮に労災認定されなくとも、見舞金などの名目で不慮の事故を見舞う気持ちを会社として見せることは、社員の帰属意識を高めることにつながります。